SPIVAグローバル・スコアカードによると、2024年上半期は世界中のアクティブ運用株式ファンドにとって厳しい市場環境となりました。日本も例外ではなく、日本の全てのファンド・カテゴリーにおける合計929本のアクティブ運用ファンドのうち、大多数(71%)がそれぞれのベンチマークをアンダーパフォームしました。
株式市場全体が力強く上昇し、超大型企業がアウトパフォームする中で、2024年上半期は日本株式のアクティブ運用マネージャーにとって難しい投資環境となりました。日本の全ての株式ファンドの3分の2以上(68%)が、S&P 日本500指数のトータル・リターンである20.7%を下回る運用成績となりました。日本の大型株ファンドの70%がS&P/TOPIX 150指数をアンダーパフォームした一方で、日本の中小型株ファンドは比較的底堅い動きを示し、S&P 日本中小型株指数をアンダーパフォームしたファンドの割合は52%にとどまりました。
日本に本籍を置く外国株式ファンドは2024年上半期にさらに厳しい結果となり、国際株式カテゴリーでは68%がベンチマークをアンダーパフォームし、新興国株式カテゴリーでは86%がベンチマークをアンダーパフォームしました。日本に本籍を置く外国株式ファンドでは、長期的にベンチマークをアンダーパフォームする傾向が相対的に強く、2024年上半期も同様の結果となりました。これらのカテゴリーでは、15年の期間において91%~100%のファンドがそれぞれのベンチマークをアンダーパフォームしています(図表1参照)。
市場概況:2024年上半期とその後の展望
その他の先進国株式市場と同様に、日本の株式市場は2024年に好調なスタートを切り、S&P 日本500指数は2024年上半期に20.7%上昇しました。しかし、2024年7~9月期には上昇分の一部を失ったため、7~9月期末までの年初来リターンは14.7%に低下しました。日銀が3月にマイナス金利政策を解除したことで、日本の株式、債券、及び為替市場のボラティリティが上昇しました。日本国債のボラティリティを測定するS&P/JPX 日本国債VIX指数は年初来の平均で3.76と高止まりしており、過去5年間の平均である2.63を上回っています。また、円相場は対ドルで2024年上半期に12.4%下落した後、2024年7~9月期には一転して11.8%上昇しました(図表2参照)。
SPIVAグローバル・スコアカード(2024年中期版)に示されているように、2024年上半期にはS&P 日本500指数の構成銘柄のうち、3分の2以上(69%)が指数自体をアンダーパフォームしました。つまり、ファンド・マネージャーにとって2024年上半期は、アウトパフォームする銘柄を選択することが困難な投資環境であったと言えます。実際に、日本の全ての株式ファンドの70%が指数をアンダーパフォームしており、この割合は過去10年間の平均である57%を大幅に上回りました。2024年7~9月期末時点で、S&P 日本500指数の構成銘柄のリターン分布は強い正の歪度を示し、リターンの平均値が中央値を4.4%上回っていました(つまり、少数の銘柄が非常に高いリターンを記録する一方で、大多数の銘柄が比較的低いリターンにとどまっていた)。厳しい市場環境が続く中で、日本株式のファンド・マネージャーがこうした課題や機会にどのように対応していくかが注目されます。