コンテンツリスト

インデックス運用の基礎として、透明性、独立性、及び信頼性の向上に取り組む

S&P PACT指数:2年間にわたりネット・ゼロへの取り組みに貢献

Kensho指数の相関

ムーンショット:成長性に注目した投資テーマ

ボラティリティ、暗号通貨、及びリスク・コントロール指数

インデックス運用の基礎として、透明性、独立性、及び信頼性の向上に取り組む

今年、インデックス・インダストリー・アソシエーション(IIA)の会長に就任することになり、大変光栄に思います。IIAは2012年以降、世界中の独立系指数プロバイダーを積極的に支持する活動を行ってきました。インデックス運用の普及によって金融市場にアクセスする方法が大きく変化しており、誰でも金融市場に参加できるようになっています。IIAが設立されてから今年で10周年を迎える中で、我々はこうしたインデックス運用のメリットについて提唱していく役割を担っており、これまで以上に啓蒙活動を進めていく必要があると認識しています。

実際に、インデックス運用はここ30年間で急速に進化しています。インデックス運用は当初、世界の金融市場において比較的ニッチで曖昧なセグメントでしたが、今日では投資、退職後に向けた資金運用、及び世代を超えた資産形成を行う上で必要不可欠なツールになっています。

世界の指数プロバイダーは現在、合わせて約300万の指数を提供しており、広範な市場をはじめ、特定の市場セクターやセグメントの動きを追跡・測定することが可能となっています。こうした中で、インデックス運用業界では今後も競争が激化し、さらにイノベーションが進むと考えられます。

IAAでは「透明性」を基本原則としており、IAAのメンバーは指数メソドロジーを一般公開することに努めています。透明性の高い独立した指数により、豊富なデータや洞察が利用可能となっているため、市場のリスク、リターン、及び投資機会などをより正確に把握し、評価することが可能となっています。指数を活用することで、投資家は十分な情報に基づいた意思決定を行い、様々な運用目標を達成することができます。

指数自体は特に目新しいものではありません。米国の代表的な株価指数であるダウ・ジョーンズ工業株価平均®(DJIA)S&P 500®、及びその他多くのベンチマークは、市場の日々の動きを表すだけでなく、市場の歴史的な瞬間も反映します。例えば、指数は企業社会の変遷や、グローバル経済における産業の盛衰、新興企業の台頭などを表してきました。指数の動きを分析することで、市場の歴史と寿命に対する理解を深め、将来の見通しについて考察することができます。

指数とインデックス運用は、グローバル市場に多大な価値と恩恵をもたらしています。独立した指数プロバイダーは、資金の運用、資産の取引、または投資戦略の開発などを行いませんが、指数を第三者にライセンス供与しており、当社の指数は、指数に基づく金融商品(上場投資信託(ETF)など)の基礎として幅広く活用されています。指数は透明性と効率性を提供し、低コストでの運用を可能とするため、指数や指数に基づく金融商品(ETFなど)に対する需要は引き続き拡大しています。

pdf-icon PD F 全ての記事をダウンロードする

S&P PACT指数:2年間にわたりネット・ゼロへの取り組みに貢献

Contributor Image
Kieran Trevor

Analyst, ESG Research & Design

S&P Dow Jones Indices

急速に変化するESGの分野では、2年というのは長い年月であると言えます。100年に一度のパンデミックが世界を襲う中で、S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス(S&P DJI)は様々なESG指数の開発を進め、気候指数の分野において市場リーダーとしての地位を確立しました。当社がS&P PACT™指数(S&P パリ協定準拠及び気候変動指数)の算出を開始してから、2022年4月20日で2周年を迎えました。この指数は、パリ協定で定められた1.5⁰C目標や、欧州連合(EU)の気候移行ベンチマーク(CTB)とパリ協定整合ベンチマーク(PAB)の最低基準、及び気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言などに即した指数となっています。S&P PACT指数は、S&P Global Trucostが提供する最新のカーボンリスク及び物理的リスクのデータを使用するとともに、指数のアプローチにおいて科学的根拠に基づく目標イニシアチブ(SBTi)を考慮することにより、EUのCTB及びPABの最低基準を十分に満たした指数となっています。

図表1は、この指数シリーズの算出が開始されて以降の経緯を示しています。当社は、新たな地域指数の算出を開始するとともに、指数構築に関して市場参加者と相談を行い、サステナブル投資環境の変化に対応してきました。

パフォーマンス指標

全てのS&P PACT指数は、気候関連の目標を達成する一方で、セクターと産業の構成比率をベンチマークと同等に維持し、アクティブ・リスクを最小限に抑えるように設計されています。図表2に示されているように、これらの目標は達成されており、各S&P PACT指数のリスクとリターンは、それぞれのベンチマークと概ね近い水準で推移しています。

pdf-icon PD F 全ての記事をダウンロードする

Kensho指数の相関

Contributor Image
Anu R. Ganti

Head of U.S. Index Investment Strategy

S&P Dow Jones Indices

ウォール・ストリート・ジャーナルによると、多くのアクティブ運用マネージャーは2021年、市場をアウトパフォームすることができませんでした。これは、特に驚くことではありません。実際に、昨年における米国と世界の投資環境はアクティブ運用にそれほど適したものではありませんでした。

ばらつきと相関を見ることで、銘柄選択に適した投資環境であるかどうかを分析することができます。他の全ての条件が同じと仮定した場合、ばらつきが平均よりも大きければ、アクティブ運用マネージャーにとって有利な投資環境であると考えることができます。これは、ばらつきが大きければ、アクティブ運用マネージャーの銘柄選択スキルがより有効に機能するためです。相関の解釈の仕方はより複雑です。アクティブ運用マネージャーのポートフォリオは通常、指数のポートフォリオと比べて分散度合いが低く、かつボラティリティが高いと言えます。相関が高い場合には、相関が低い場合と比べて分散投資の効果が薄れます(より分散されたポートフォリオではボラティリティが低くなる)。

相関が平均より高ければ、アクティブ運用マネージャーにとって有利な投資環境であると考えることができます。これは、相関が高ければ、集中ポートフォリオの機会コストが低下するためです。当社では、集中投資のコストを、ポートフォリオのボラティリティに対する構成銘柄の平均ボラティリティの比率と定義しています。集中投資のコストが高いことは、機会コストであり、アクティブ運用マネージャーが克服すべきハードルが高いことを意味します。

S&P Kenshoニュー・エコノミー指数のユニバースは、S&P 500®のユニバースと比べてばらつきがより大きい一方、相関がより低くなる傾向があります。これは、当然であるとも言えます。実際に、Kensho指数の構成銘柄は、世界産業分類基準(GICS®)の枠組み内の銘柄と比べて、より特異な性質を持っています。

図表1では、2021年において、S&P Kenshoニュー・エコノミー・コンポジット指数のばらつきと相関が低下したことを示しています。

pdf-icon PD F 全ての記事をダウンロードする

ムーンショット:成長性に注目した投資テーマ

Contributor Image
Srineel Jalagani

Senior Director, Thematic Indices

S&P Dow Jones Indices

S&P Kenshoムーンショット指数(ムーンショット指数)は、成長の初期段階にある次世代のイノベーション企業を中心に構成された革新的な戦略です1。以前に投稿したブログ2でも紹介したように、ムーンショット指数に組み入れられているアーリーステージのイノベーション企業は、中堅イノベーション企業よりも市場で高く評価されており、これらを大幅にアウトパフォームしています。新型コロナウイルスによる経済への影響が長期化し、企業や消費者が新たな環境に順応しつつある中で、イノベーション企業に対する注目が高まっています。

ムーンショット指数の最近のパフォーマンスは不安定に推移しており、2021年12月と2022年1月の月次リターンは大幅なマイナスとなりました(図表1参照)。また、ベンチマークであるS&P 小型株600®指数に対するムーンショット指数の相対パフォーマンスも不安定に推移しており、ムーンショット指数は2021年12月と2022年1月にベンチマークを大幅にアンダーパフォームしました(図表2参照)。変動の激しい相場展開が続いていますが、ムーンショット指数の2022年2月16日現在の値はパンデミック発生前の水準を約15%上回っています。

pdf-icon PD F 全ての記事をダウンロードする

ボラティリティ、暗号通貨、及びリスク・コントロール指数

よく言われることですが、ボラティリティはビットコインの「特性」であり、ひいては暗号通貨市場全体の「特性」でもあります。

「特性」という言い方が適切ではないと考える人もいるかもしれませんが、暗号通貨市場は非常に変動の激しい市場であると言えます。トレーダー、資産運用会社、アドバイザー、市場オブザーバーなどは、それぞれの役割に応じて、ボラティリティを上手く利用して収益を上げる、またはボラティリティを抑えることを目指しています。

当社のホワイトペーパーでも言及したように、S&P 暗号通貨指数は高い年率リターンを示していますが、同時にリターンのボラティリティが非常に高いため、ダウンサイド・リスクも大きくなっています(図表1参照。図表は調査対象期間のリターンを示しており、バックテストされたデータに基づいています)。S&P ビットコイン指数を見ると、バックテストされた年率リターンの振れ幅が非常に大きくなっています。

S&P 500®と比較すると、2021年12月31日までの3年間において、S&P 500®の年率リターンは26%、リスク調整後年率リターンは1.5%、年率ボラティリティは17.4%でした。

暗号通貨ポートフォリオのボラティリティを抑えるための新たな指数ソリューションとして、当社はS&P 暗号通貨ダイナミック・リバランス・リスク・コントロール40%指数を開発しました。これらの指数は、コントロールされたボラティリティを測定し、指数リターンを平準化するように設計されています。当社では、ビットコイン及びイーサリアムを対象とするリスク・コントロール指数を算出しています(株式やコモディティなどの伝統的な資産クラスについても、S&P リスク・コントロール指数を算出しています)。図表2では、リスク・コントロール指数の仕組みを概念的に説明しています。

pdf-icon PD F 全ての記事をダウンロードする