概要
- S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスは2002年にSPIVA米国スコアカードを最初に発行しました。それ以来、このスコアカードはパッシブ運用とアクティブ運用の議論において高い注目を集める調査となっています。当社は長年にわたり、スコアカードの対象をオーストラリア、カナダ、欧州、インド、南アフリカ、ラテンアメリカ、中東・北アフリカ、及び日本に拡充することで、経験を築き上げてきました。本レポートの発行により、日本におけるアクティブ運用とパッシブ運用をめぐる議論が決着するわけではありませんが、当社はある戦略が他の戦略よりも優れたパフォーマンスを上げている市場セグメントを精査することで、有意義な貢献を行いたいと考えています。
- SPIVA日本スコアカードでは、アクティブに運用されている日本の投資信託についてそれぞれのベンチマーク指数に対するパフォーマンスを1年、3年、5年、10年の投資期間にわたり報告します。このスコアカードでは、774以上の日本の大型株・中小型株の株式ファンド、及びグローバル市場、国際市場、新興国市場、及び米国市場に投資する818以上の外国株式ファンドのリターンを評価しました。
日本株ファンド:2021年、S&P/TOPIX 150指数は7%上昇し、S&P日本中小型株指数は8.8%上昇しました。同期間において、大型株ファンドの64.7%及び中小型株ファンドの55.8%がそれぞれのベンチマーク指数をアンダーパフォームし、均等加重平均リターンはそれぞれ13.0%及び7.8%となりました。2021年の国内株式アクティブ・ファンドのベンチマーク指数に対する相対パフォーマンスは2020年よりも悪化し、ベンチマーク指数をアンダーパフォームしたファンドの割合が大幅に上昇しました。
10年の期間では、日本の大型株ファンド及び中小型株ファンドのそれぞれ18.1%及び52.8%がベンチマーク指数をアウトパフォームしましたが、これらのファンドのそれぞれ38.3%及び33.5%が清算されました。日本の大型株ファンドの均等加重平均リターン及び資産加重平均リターンはベンチマーク指数をそれぞれ0.46%及び0.44%アンダーパフォームしました。一方、中小型株ファンドについては、均等加重平均及び資産加重平均ベースでそれぞれ3.3%及び1.2%の年率超過リターンを計上しました。日本の中小型株ファンドは大型株ファンドと比較して、様々な期間においてベンチマーク指数に対して高い超過リターンを計上する傾向がありました。
- 外国株式ファンド:2021年には、全ての外国株式ファンドのカテゴリーにおいて、2020年より多くのアクティブ・ファンドがベンチマーク指数をアンダーパフォームしました。米国株式ファンド、グローバル株式ファンド、及び国際株式ファンドの80%以上がそれぞれのベンチマーク指数をアンダーパフォームし、新興国株式ファンドの8%がS&P 新興国総合指数をアンダーパフォームしました。2021年には、全ての外国株式ファンドのカテゴリーがそれぞれのベンチマーク指数よりも低い平均リターンを計上しました。特に、グローバル株式ファンドの均等加重平均リターン及び資産加重平均リターンは、S&P グローバル1200指数®をそれぞれ11.1%及び20.6%アンダーパフォームしました。
10年の期間では、外国株式ファンドの大部分がそれぞれのベンチマーク指数をアンダーパフォームしました。グローバル株式ファンド、国際株式ファンド、及び新興国株式ファンドの10%未満がそれぞれのベンチマーク指数をアウトパフォームした一方、米国株式ファンドの17.2%がS&P 500をアウトパフォームしました。ただし、ベンチマーク指数に対する相対リターンでは、米国株式ファンドが最もアンダーパフォームしました。米国株式ファンドは、均等加重ベース及び資産加重ベースでそれぞれマイナス6.2%及びマイナス5.9%の年率超過リターンを計上しました。外国株式ファンドの10年間の清算率は50.2%となり、国内株式ファンドの36.5%を大幅に上回りました。