S&P 500®均等加重指数は2003年に算出が開始されて以降、20年以上にわたってS&P 500®をアウトパフォームしています。同様に、1970年まで遡ってバックテストを行った場合でも、S&P 500®均等加重指数は長期にわたりS&P 500®に対して超過リターンを生み出しています(図表1参照)。このことは特に新しい発見ではありませんが、現在のように一部の超大型株が株式市場の上昇を牽引し、市場の集中度が高まっている状況を踏まえると、米国大型株の均等加重指数に投資することのメリットを検討しても良いかもしれません。
本稿では、現在の市場動向を踏まえた上で、S&P 500均等加重指数の相対パフォーマンスに影響する要因を分析し、市場の集中度、セクター、ファクター、及び個別銘柄などの様々な観点から考察を行います。
現在の市場動向
米国株式市場は上昇基調をたどっていますが、最近の相場上昇の大部分は一握りの超大型株によるものとなっています。こうした中で、均等加重戦略に対する関心が高まっています。その理由としては以下の2点が挙げられます:(1)株式市場の集中度が高まっており、どこかの時点でこうしたモメンタムが反転する可能性があること(ただし、反転のタイミングを予想することは困難)、(2)株式市場の集中度が比較的高い局面では、分散投資戦略が非常に重要となること。
米国株式市場の集中度は極端に高まっており、様々な指標がこのことを示しています1。S&P 500の均等加重指数と時価総額加重指数を比べると、2024年6月28日時点でS&P 500構成銘柄の単純平均時価総額が963億ドルであったのに対して、指数加重の平均時価総額は9,986億ドルでした。つまり、S&P 500(時価総額加重指数)に連動する戦略の平均時価総額は、S&P 500均等加重指数に連動する戦略の平均時価総額の10倍以上となっています。
この比率(加重平均時価総額と単純平均時価総額の比率)を用いて「集中度」を表すと、株式市場の集中度は過去10年間で急激に上昇しており、最近では過去50年以上で最も高い水準に達しています(図表2aを参照)。