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配当成長戦略に関する考察

S&P 500®配当貴族指数®:安定した配当収入の重要性エグゼクティブ・サマリー

ウサギとカメ

20年間にわたるS&P 500®均等ウェイト指数の優れた実績

日本の投資家が米国株式に投資することの重要性

配当成長戦略に関する考察

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Izzy Wang

Senior Analyst, Factors and Dividends

S&P Dow Jones Indices

市場参加者の間では、配当戦略の人気が高まっています。配当戦略を採用することにより、魅力的な利回りを確保し、市場平均を上回るパフォーマンスを達成できる可能性があります。2008年の世界金融危機以降に低金利環境が続いたことや、コロナ禍による景気低迷でさらに低金利環境が長期化したことを踏まえると、配当戦略は利回りを確保する上で非常に有効な投資手法の1つであると考えられます。2022年に入り、世界経済の不透明感、地政学的緊張、高インフレ、及び金利上昇が続いています。このように不確実性が高い環境下でも安定した財務基盤を維持し、長期にわたり増配を続けている企業に投資する配当成長戦略は非常に魅力的であると言えます。

2020年以降には不透明な経済状況が続いたため、企業は安定した利益を上げることが難しくなりました。高配当企業であっても、強固な財務体質や財務規律を持たない企業は増配を続けることが困難となるだけでなく、配当停止や減配を迫られる可能性もあります。

一方、安定した増配実績を持つ企業の株式は、不透明な環境下でも魅力的な投資機会を提供する可能性があります。増配を続けている企業の株式に投資資金を配分し、優良株式へのエクスポージャーを確保すれば、長期にわたりインカム収入を増やすことが可能になると考えられます。したがって、市場のボラティリティが高まった場合でも損失を抑え、金利上昇リスクをある程度軽減することが可能と言えます。

このことは、米国大型株式以外にも当てはまります。例えば、中小型株式や国際株式についても同様のことが言えます。

S&P 高配当貴族指数®は、S&P コンポジット1500指数®の構成銘柄のうち、20年以上連続して増配している企業のパフォーマンスを測定するように設計されています。本レポートでは、S&P 高配当貴族指数の特徴を分析し、S&P 500®高配当指数の特徴と比較を行った上で、配当成長戦略のメリットについて考察していきます(S&P 500®高配当指数とは、S&P 500に基づいて構築された高配当戦略です。指数メソドロジーの概要については、付属資料を参照ください)。さらに、本レポートでは、グローバル市場及び国際市場(カナダやユーロ圏、英国、汎アジア、日本などの市場)の増配銘柄を組み入れた指数についても解説していきます。

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S&P 500®配当貴族指数®:安定した配当収入の重要性エグゼクティブ・サマリー

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Rupert Watts

Head of Factors and Dividends, Product Management

S&P Dow Jones Indices

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Hugo Barrera

Senior Analyst, Factors and Dividends Product Management

S&P Dow Jones Indices

  • 配当は、株式のトータル・リターンを高める上で重要な役割を果たしています。配当は1926年以降、S&P 500のトータル・リターンの約32%に貢献している一方で、キャピタル・ゲインはトータル・リターンの68%に貢献しています。したがって、持続可能な配当収入とキャピタル・ゲインの可能性はトータル・リターンの見通しにとって重要な要素であると言えます。
  • 各企業は、自社の将来の業績見通しに対する自信を表すシグナルとして、安定した配当や増配を使用します。一方、市場参加者は、配当実績を企業の成熟度やバランスシートの健全性を判断するシグナルと見なします。
  • S&P 500配当貴族指数は、S&P 500の構成銘柄の中で少なくとも25年間連続で毎年増配する方針に従っている銘柄のパフォーマンスを測定するように設計されています。

  • S&P 500配当貴族指数は元本の成長と配当収入の両方の特性を示している一方で、オルタナティブ・インカム戦略では純粋な利回りまたは純粋なキャピタル・ゲインを重視しています。
  • S&P 500配当貴族指数は長期にわたり、S&P 500と比較して高いリターンを獲得する一方で、ボラティリティを低く抑えているため、優れたリスク調整後リターンを達成しています。
  • S&P 500配当貴族指数の構成銘柄は2023年現在、10の分散されたセクターにおいて66の銘柄で構成されています(付属資料の図表13参照)。
    • 各構成銘柄にはグロースとバリューの両方の特性があります。
  • S&P 500配当貴族指数の構成は、伝統的な配当指向のベンチマークの構成とは対照的となっています。伝統的な配当指向のベンチマークではバリュー株が大きな割合を占めており、金融セクターや公益事業セクターへのエクスポージャーが高くなっています。
  • S&P 500配当貴族指数は、均等ウェイト・メソドロジーに従っています。
    • このメソドロジーでは、時価総額に関係なく、各企業を別々の事業体として取り扱います。
    • このメソドロジーでは、単一銘柄の集中リスクを除外しています。

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ウサギとカメ

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Anu R. Ganti

U.S. Head of Index Investment Strategy

S&P Dow Jones Indices

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Tim Edwards

Managing Director and Global Head of Index Investment Strategy

S&P Dow Jones Indices

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Agatha Malinowski

Quantitative Analyst, Index Investment Strategy

S&P Dow Jones Indices

債券のパッシブ運用の可能性を評価する

「ウサギはカメの足が遅いのをいつもバカにして笑っていたが、カメは「競争すると私が勝つ」と宣言した」

イソップ寓話(Laura Gibbs訳、2002年)

現金自動預払機(ATM)の発明を除くと、金融業界においてインデックス・ファンドは最も優れた発明品であるとも言われています。株式インデックス・ファンドが初めて登場した当時、専門家は懐疑的な見方を示しましたが、それでもインデックス・ファンドは普及し続けました。債券市場でも同様の革命が起こる可能性があります。株式のパッシブ運用残高はここ10年ほどにわたり着実に増加しており、これと同様に債券のパッシブ運用も普及が進んでいるように思われます。

債券市場は株式市場よりも規模が大きく、より細分化されていますが、様々な実務的及び理論的な議論が行われた結果、債券市場でもインデックス運用が有効である可能性があることが分かっています。また、債券市場では有名なベンチマークがあまり存在しておらず、ベンチマークに連動するパフォーマンスを上げることも実質的に困難であるため、パッシブ運用とアクティブ運用のどちらを選ぶかを検討する投資家は現時点で比較的少ないと言えます。

今世紀に入ってから株式のパッシブ運用が拡大し、資産運用業界に劇的な変化をもたらしました。パッシブ運用に関するデータが蓄積され、各社が幅広い運用商品を提供している中で、機関投資家による債券のパッシブ運用も今後拡大する可能性があると考えられます。

本レポートでは、債券のインデックス運用に関する実務的、理論的、及び実証的なケースについて考察し、株式のパッシブ運用と比べて債券のパッシブ運用の普及が遅れた理由を説明します。また、債券のパッシブ運用が今後拡大し、株式のパッシブ運用に追い付く可能性があるかどうかについても検証します。

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20年間にわたるS&P 500®均等ウェイト指数の優れた実績

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Grace Stoddart

Quantitative Associate, Index Investment Strategy

S&P Dow Jones Indices

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Tim Edwards

Managing Director and Global Head of Index Investment Strategy

S&P Dow Jones Indices

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Davide Di Gioia

Director, Index Investment Strategy

S&P Dow Jones Indices

サマリー

S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスがS&P 500均等ウェイト指数の算出を開始してから20年以上が経過しました。この指数は高いパフォーマンスを示しているため、学究的な関心を集めており、この指数に連動する投資商品に投資家の資金が流入しています。この指数の20周年を記念して、アクティブ運用の米国株式ミューチュアル・ファンドのベンチマークとしてのこの指数の潜在力を再検証します。この指数の20年間の実際のパフォーマンスを用いて行った検証結果は以下の通りです:

  • アクティブ運用の平均的な大型コア米国株式ファンドの年間超過リターン(S&P 500に対して)と、S&P 500均等ウェイト指数の超過リーンには相関関係がありました。
  • 長期的に見ると、アクティブ運用の国内米国株式ファンドのほぼ全てが、あらゆる主要カテゴリーでS&P 500均等ウェイト指数をアンダーパフォームしました。
  • S&P 500均等ウェイト指数に連動するパッシブ投資商品に関連するパフォーマンスの押し下げ要因(売買回転率が高いなど)を考慮しても、こうした結果が大きく変わることはないと考えられます。

20年間にわたるS&P 500®均等ウェイト指数の優れた実績: 図表 1

はじめに

S&P 500均等ウェイト指数は、時価総額加重指数であるS&P 500の均等加重バージョンとして、約20年前の2003年1月8日に算出を開始しました。この指数は算出開始以降、高いパフォーマンスを示しており、この指数のトータル・リターンは米国の大型株、中型株、及び小型株のベンチマーク指数を上回っているだけではなく、S&P 500グロース指数とバリュー指数をも上回っています(図表2参照)。

20年間にわたるS&P 500®均等ウェイト指数の優れた実績: 図表 2

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日本の投資家が米国株式に投資することの重要性

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Hamish Preston

Head of U.S. Equities

S&P Dow Jones Indices

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Cristopher Anguiano

Senior Analyst, U.S. Equity Indices

S&P Dow Jones Indices

  • この記事に含まれる指数 S&P 500

エグゼクティブ・サマリー

米国株式は世界の株式時価総額の中で大きな割合を占めており、日本の投資家は米国株式に投資することでポートフォリオの分散効果を高められる可能性があります。本稿では、主に以下の点について検証を行います。

  • 世界の株式市場の中で米国株式が大きな割合を占めていることを示す
  • 各セクターの中で米国株式が占める割合を説明する
  • 米国株式を組み込むことでリスクとリターンの特性がどのように改善するかを検証する
  • アクティブ運用株式ファンドと、S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス(S&P DJI)のフラグシップ株式ベンチマークのパフォーマンスを比較する

米国株式市場の規模と重要性

米国株式市場は世界の株式時価総額の中で大きな割合を占めています。図表1に示されているように、米国に本籍地を置く企業は2023年6月末時点で世界の株式ユニバースの浮動株調整後時価総額の59.3%を占めており、この割合は日本の株式市場(6.6%)の約9倍となっています。

日本の投資家が米国株式に投資することの重要性: 図表 1

米国の大型株、中型株、小型株セグメントをカバー:S&P 1500®

1995年に算出を開始したS&P コンポジット1500®はS&P 1500として知られており、米国株式市場のパフォーマンスを測定するように設計されています。S&P 1500は、S&P 500®S&P 中型株400®、及びS&P 小型株600®の3つのコンポーネント指数を組み合わせた浮動株調整後時価総額加重指数であり、米国の大型株、中型株、小型株セグメントをカバーしています。各指数は、ルールに基づいた透明性の高いメソドロジーに従っています。これにより、S&P 1500は流動性、株価、及びクオリティが低い銘柄を組み入れることを避けることが可能となっています。

大型株セグメントは米国株式市場において大きな割合を占めています(S&P 500は米国株式市場の約80%以上を占めている。しかし、米国株式市場は規模が大きいため、米国の小型株 小型株セグメントでも、一部の国の株式市場に匹敵する規模となっています。例えば、S&P 中型株400及びS&P 小型株600の規模を単独の国としてみると、2022年末時点でそれぞれS&P グローバル総合指数(BMI)の中で4番目及び12番目に大きな国に匹敵する規模となっています。

図表2は、日本の株価指数ベンチマークとS&P 中型株400及びS&P 小型株600の浮動株調整後時価総額を比較しています。S&P/TOPIX 150は日本の大型株のパフォーマンスに連動するように設計されており、S&P 日本中型株100及びS&P 日本小型株250はそれぞれ中型株セグメント及び小型株セグメントのパフォーマンスを測定することを目指しています。これら3つの指数がS&P 日本500を構成しています。

S&P 小型株600の時価総額は2023年6月現在、S&P 日本中型株100とS&P 日本小型株250を合わせた時価総額を上回っています。さらに、S&P 1000®により表される米国市場の中型株セグメントと小型株セグメントを合わせた時価総額は、日本の大型株セグメントの時価総額とほぼ同じ規模となっています。

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