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S&P 500® ESG指数: ESGを投資戦略の中核に据える

iBoxx ABF汎アジアの概要

TalkingPoints 米大統領選挙の年における米国の株式とセクター

S&P 500® ESG指数の流動性エコシステムの拡大

TalkingPoints: S&P 配当君主指数:配当貴族指数シリーズにおける新 たな指数

S&P 500® ESG指数: ESGを投資戦略の中核に据える

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Stephanie Rowton

Director, Head of Sustainability Indices EMEA

S&P Dow Jones Indices

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María Sánchez

Director, Sustainability Index Product Management, U.S. Equity Indices

S&P Dow Jones Indices

S&P 500 ESG指数は2019年1月28日に算出を開始し、これによりサステナブル投資は大きな節目を迎えました。S&P 500 ESG指数は、S&P 500の強み、流動性、及び影響力を活用する一方で、独自のESG基準を設定した指数です。これまで、ESG指数は単なる報告ツールと考えられていましたが、S&P 500 ESG指数が登場したことにより、ESG指数は投資戦略において不可欠な構成要素として認識されるようになりました。

S&P 500 ESG指数は幅広い業種の企業で構成されており、原指数であるS&P 500の300以上の構成銘柄を組み入れています。S&P 500 ESG指数はベンチマークと同等のパフォーマンスを提供するため に、S&P 500自体の属性の多くを反映することを目指しています。本稿では、S&P 500 ESG指数の特性を概説し、特に以下の点について詳細な考察を行います。

  • この指数はシンプルかつ透明性の高いメソドロジーを採用している
  • 過去のデータに基づくと、この指数のリスク調整後パフォーマンス特性はS&P 500と似通っている
  • この指数は、S&P 500よりも優れたESG特性を有している

S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス(S&P DJI)はS&P 500 ESG指数に加え、S&P 500 ESGリーダーズ指数S&P 500 ESGエリート指数など幅広い指数を提供しており、これらはS&P 500 ESG指数よりもさらに厳格なESG基準を適用した指数となっています。S&P ESG指数のメソドロジーは、幅広い市場参加者がそれぞれの投資目標を達成できるよう、汎用性の高いものとなっています。

エコシステム

S&P 500 ESG指数が2019年1月に算出を開始して以降、この指数に連動する投資商品は大きな成長を遂げています(図表1を参照)。S&P 500 ESG指数は様々な金融商品(上場投資信託(ETF)、上場デリバティブ(ETD)、ミューチュアルファンド、保険商品、及びストラクチャード商品など)の基礎としての役割を果たしており、広範なエコシステムを形成しています。例えばETDには、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)で取引されるEミニS&P 500 ESG指数先物といった先物取引や、シカゴ・オプション取引所(CBOE)で取引されるS&P 500 ESG指数オプションといったオプション取引などがあります。S&P 500 ESG指数に連動する投資商品は活発に取引されているため、S&P 500 ESG指数は米国株式市場で最も流動性の高いサステナビリティ指数として認知されています。

ETFとETDのエコシステムは投資家に様々な優位性(流動性の向上、分散効果、リスク管理の選択肢、及び取引の柔軟性など)を提供しています。

  • 流動性の向上:S&P 500 ESG指数に連動するETFとETDがあるため、投資家は原資産にアクセスする上で複数の手段を持つことができる。これらのETFとETDは活発に取引されており、市場の流動性向上に貢献している。
  • 分散効果:S&P 500 ESG指数に連動する様々なETFが存在しているため、投資家はESGスコアを組み込んでいる証券のバスケットへのエクスポージャーを得ることができる。また、ETDを活用することにより、投資家はデリバティブ契約を通じて合成的にエクスポージャーを得ることも可能である。これにより、投資家はESGの視点で分散されたポートフォリオを構築することができる。
  • リスク管理:ETDを使用し、効果的なリスク管理を行うことができる。例えば、市場変動に対するヘッジ、またはポートフォリオのリスク管理などが可能である。
  • 取引の柔軟性:S&P 500 ESG指数に連動するETFとETDがあるため、投資家は柔軟な戦略を構築し、柔軟に取引を執行することができる。

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iBoxx ABF汎アジアの概要

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Kangwei Yang

Director, Fixed Income Indices

S&P Dow Jones Indices

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Jessica Tan

Principal, Fixed Income Indices

S&P Dow Jones Indices

はじめに

iBoxxアジア・ボンド・ファンド(ABF)汎アジアは、東アジア・オセアニア中央銀行役員会議(EMEAP)が創設したアジア・ボンド・ファンド2(ABF2)の公式ベンチマークであり、2005年に設定されました。この取り組みは、アジア地域の現地通貨建て債券市場の発展を促進するためのものであり、9つの現地通貨建てパッシブ債券ファンドに投資を行います1。ABF2の主な目的の1つは、アジア地域の現地通貨建て債券市場において、低コストで効率的に投資できる環境を整えることであり、外国人投資家の参加を促進することも目的としています。また、(当時は)比較的新しい資産クラスであったアジアの現地通貨建て債券市場に対する投資家の認知度を高めるとともに、アジアの債券市場に対する一般的な関心を喚起することも目的としています。

iBoxx ABF汎アジアは、比較的信用リスクの低い指数であり、アジアの8つの市場(中国、香港、インドネシア、マレーシア、シンガポール、韓国、タイ、及びフィリピン)で発行された現地通貨建てのソブリン債及び準ソブリン債で構成されています。

この指数が設定されて以降、この指数と8つの各市場は大きな変化を遂げました。本レポートでは、これらの主な変化について説明するとともに、この指数が2005年に算出を開始して以降の指数メソドロジーの主な変更点についても説明します。また、近年におけるアジア現地通貨建て債券のパフォーマンスや投資需要についても考察するほか、分散されたグローバル・ポートフォリオにおいてアジアの債券が提供する分散効果についても検証します。

市場の発展

2010年以降、iBoxx ABF汎アジアの現地通貨建て国債市場の規模は16.2%の年平均成長率(CAGR)で成長しています。債券市場の成長率は各国ごとに異なっており、このことはiBoxx ABF汎アジアを構成する国々が、発展段階、金融改革、貿易依存度、市場の成熟度、及び現地通貨建て国債の需給などの点で異なっていることを示しています。

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TalkingPoints 米大統領選挙の年における米国の株式とセクター

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Hamish Preston

Head of U.S. Equities

S&P Dow Jones Indices

  • この記事に含まれる指数 S&P 500

1.   なぜ米国市場は世界の投資家にとって重要なのか?

米国の株式市場は世界最大の時価総額を誇り、米国企業は2024年3月末時点でS&P グローバル総合指数(BMI)の時価総額の60%を占めています(S&P グローバルBMIは世界の株式市場のパフォーマンスを測定する指数です)。S&P グローバルBMIは世界産業分類基準(GICS®)に基づく11のセクターで構成されており、そのうちの10セクターにおいて、米国企業が時価総額の大部分を占めています。

したがって、米国株式を投資対象から除外している市場参加者は、グローバル株式の投資機会の大部分を逃すリスクを負っています。米国株式を投資対象から除外すると、米国株式の動向がグローバル株式のリターンに及ぼす影響を説明することが困難となります。また、米国株式市場は独特な構成となっているため、米国株式に投資しなければ、投資家は戦略的または戦術的な投資アプローチによって収益を上げることも困難となる可能性があります。

2.     株式市場のパフォーマンスを測定する上で、指数はどのような役割を果たすことができるか?

チャールズ・ダウとエドワード・ジョーンズは19世紀末、世界初の株価指数であるダウ・ジョーンズ鉄道株平均の算出を開始しました。それ以降、投資家は指数を活用することで、経済状況の変化や技術革新などが様々な市場セグメントに及ぼす影響を把握することが可能となりました。また、アクティブ運用のパフォーマンスを測定する上で、指数はベンチマークとしての役割も果たしています。

初期の指数は株式市場のパフォーマンスを測定するものでしたが、その後は様々な資産クラスを対象に、ルールに基づく透明性の高い指数が開発されました。指数は現在、これまでアクティブ運用でしか実現できないと考えられていた複雑な戦略のパフォーマンスを測定することも可能となっています。

様々な市場や資産クラスに関する指数データが広く利用可能になったことに伴い、指数自体が投資商品の基礎として利用されるようになりました。指数に連動する投資商品の需要は急速に拡大しています。様々な研究が行われた結果、ほとんどのアクティブ運用ファンドが絶対ベースとリスク調整後ベースでパッシブ運用ファンドをアンダーパフォームする傾向があることが明らかになっています。例えば、2023年12月31日までの20年間において、米国籍の米国大型株ファンドの90%以上がS&P 500®をアンダーパフォームしています。また、米国大型株を中心に運用される欧州株式ファンドについても同様の傾向が見られます。2023年12月31日までの10年間において、こうしたアクティブ運用ファンドの90%以上がS&P 500をアンダーパフォームしています。

3.     最近ではS&P 500均等加重指数の人気が高まっている。その背景にある要因は何か?

投資家の間では、人工知能(AI)が企業の成長見通しに及ぼす潜在的影響が注目されています。こうした中で、米国株式市場ではここ1年ほどの間、一部の超大型IT企業が市場平均を上回るパフォーマンスを上げています。その結果、S&P 500に占める超大型企業の割合が数十年ぶりの高水準に達しています。S&P 500に占める時価総額上位5社の累積ウェイトは2024年3月末時点で25.3%となっており、これは1970年12月ぶりの高水準です。

このように、指数における銘柄の集中度が高まっていますが、S&P 500は米国大型株のパフォーマンスを測定するという本来の目的を引き続き達成しています。しかし、多くの投資家は超大型株へのエクスポージャーを抑えたいと考えており、こうした中で均等加重ファンドの人気が高まっています。また、超大型株に集中している現在の状況は長続きせず、やがて元の状態に戻るとの見方も多いため、このことも均等加重ファンドの人気につながっていると考えられます。

S&P 500均等加重指数は、S&P 500の構成銘柄を均等加重した指数であり、時価総額が比較的小さい銘柄にも均等にウェイトを割り当てています。この均等加重指数は四半期ごとにリバランスを行っており、時価総額が比較的大きい銘柄のウェイトが相対的に低くなります。S&P 500とS&P 500均等加重指数のメソドロジーの違いにより、ここ1年間において両指数のパフォーマンスにも差が生じています。銘柄の集中度が高まれば、両指数のパフォーマンスの差も拡大することになります。

一般に、時価総額の大きい企業がアウトパフォームすれば、銘柄の集中度が高まり、均等加重指数が時価総額加重指数をアンダーパフォームします(均等加重指数は、時価総額の大きい企業による影響を相対的に受けにくい)。一方、時価総額の小さい企業がアウトパフォームすれば、銘柄の集中度が低下し、均等加重指数が時価総額加重指数をアウトパフォームする傾向があります(均等加重指数では、時価総額の小さい企業のウェイトが相対的に大きい)。

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S&P 500® ESG指数の流動性エコシステムの拡大

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Aran Spivey

Senior Analyst, Sustainability Indices

S&P Dow Jones Indices

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Michael Orzano

Head of Global Exchanges Product Management

S&P Dow Jones Indices

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Igor Zilberman

Senior Lead, Capital Market Investment Strategy

S&P Dow Jones Indices

はじめに

S&P 500 ESG 指数は2019年に算出を開始して以降、S&P 500に対する持続可能な代替手段を提供する上で重要なベンチマークとして注目されています。S&P 500 ESG指数をベンチマークとする金融商品の運用資産残高(AUM)は着実に増加しています(図表1を参照)。一方、S&P 500 ESG指数をベンチマークとする金融商品のネットワークの拡大に伴って、同指数は流動性に関しても注目に値します。S&P 500 ESG指数に連動する上場投資信託(ETF)、先物、及びオプションなどのエコシステムに基づく取引高は、S&P 500の巨大な規模に比べると小さく見えるものの、市場における他の金融商品とは比較にならず、米国株式に関する最も流動性の高いサステナビリティ指数として、この指数の地位を確固たるものにしています。

S&P 500® ESG指数の流動性エコシステムの拡大: 図表 1

この指数について

2023年9月29日現在、S&P 500 ESG指数にはS&P 500の319の構成銘柄が含まれています。S&P 500 ESG指数は、S&P 500自体の多くの属性を反映すると同時に、サステナビリティ特性の改善を提供することを目指しています。このことは、様々なサステナビリティに関する除外項目を適用し、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスのESGスコアを使用してS&P 500 における世界産業分類基準(GICS)の各産業グループの時価総額の75%を目標とすることによって達成されます。この指数の構築プロセスは図表2に概要が示されています。

S&P 500® ESG指数の流動性エコシステムの拡大: 図表 2

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TalkingPoints: S&P 配当君主指数:配当貴族指数シリーズにおける新 たな指数

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Jason Ye

Director, Factors and Thematics Indices

S&P Dow Jones Indices

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Izzy Wang

Senior Analyst, Factors and Dividends

S&P Dow Jones Indices

S&P 配当君主指数は、米国市場において50年以上連続して毎年増配している長寿企業のパフォーマンスを測定するように設計されています。S&P 配当君主指数は、半世紀以上にわたる市場の変動に耐え、増配を継続するとともに、底堅い値動きを示している銘柄で構成されています。S&P 配当君主指数は、S&P 配当貴族®指数シリーズにおける新たな指数であり、厳しい採用基準が設けられています。

  1. 配当君主指数を構築した理由

S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスは世界有数の配当指数プロバイダーであり、他社に先駆けて配当成長戦略の開発に取り組んできました。当社のリサーチ・チームは1980年代初頭以降、米国市場で10年以上連続して毎年増配している企業を監視し始めました。2000年代初頭において、連続して増配する企業の数が増える中で、当社は連続増配年数の基準を25年に引き上げ、この基準を満たす銘柄が「米国配当貴族」の最初の構成銘柄となりました。2005年5月にはS&P 500®配当貴族指数の算出を正式に開始し、この指数は市場で最も知名度の高い配当成長戦略の1つとなりました。それ以降、当社はS&P 配当貴族指数シリーズの拡充を図っており、中型株や小型株、さらにはグローバル市場などをカバーする配当指数を提供してきました。2023年4月現在、S&P 配当貴族指数に連動する上場投資信託(ETF)の運用資産残高は合計で400億ドル以上に上っています。

S&P 500配当貴族指数の算出を開始してから20年近く経過しており、同指数の構成銘柄数は57から66に増加しています。

過去5年間において、50年以上連続して増配している企業の数が増えており(図表1参照)、大型株ユニバース(S&P 500)だけでなく、中小型株ユニバース(S&P 中型株®400指数及びS&P 小型株600®指数)においても同様の傾向が見られます。2023年1月時点において、S&P コンポジット1500指数の中で50年以上連続して増配している企業は30社以上ありました。幅広い業種/時価総額グループの中から、新たな指数コンセプトに合った銘柄を選択し、S&P 配当君主指数を構築しました。

TalkingPoints: S&P 配当君主指数―配当貴族指数シリーズにおける新たな指数: 図表 1

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