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TalkingPoints 米大統領選挙の年における米国の株式とセクター

S&P 500® ESG指数の流動性エコシステムの拡大

TalkingPoints: S&P 配当君主指数:配当貴族指数シリーズにおける新 たな指数

S&P 500® ESG指数: サステナブル・コアの定義

TalkingPoints: SPIVA®の20年間の影響を評価する

TalkingPoints 米大統領選挙の年における米国の株式とセクター

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Hamish Preston

Head of U.S. Equities

S&P Dow Jones Indices

  • この記事に含まれる指数 S&P 500

1.   なぜ米国市場は世界の投資家にとって重要なのか?

米国の株式市場は世界最大の時価総額を誇り、米国企業は2024年3月末時点でS&P グローバル総合指数(BMI)の時価総額の60%を占めています(S&P グローバルBMIは世界の株式市場のパフォーマンスを測定する指数です)。S&P グローバルBMIは世界産業分類基準(GICS®)に基づく11のセクターで構成されており、そのうちの10セクターにおいて、米国企業が時価総額の大部分を占めています。

したがって、米国株式を投資対象から除外している市場参加者は、グローバル株式の投資機会の大部分を逃すリスクを負っています。米国株式を投資対象から除外すると、米国株式の動向がグローバル株式のリターンに及ぼす影響を説明することが困難となります。また、米国株式市場は独特な構成となっているため、米国株式に投資しなければ、投資家は戦略的または戦術的な投資アプローチによって収益を上げることも困難となる可能性があります。

2.     株式市場のパフォーマンスを測定する上で、指数はどのような役割を果たすことができるか?

チャールズ・ダウとエドワード・ジョーンズは19世紀末、世界初の株価指数であるダウ・ジョーンズ鉄道株平均の算出を開始しました。それ以降、投資家は指数を活用することで、経済状況の変化や技術革新などが様々な市場セグメントに及ぼす影響を把握することが可能となりました。また、アクティブ運用のパフォーマンスを測定する上で、指数はベンチマークとしての役割も果たしています。

初期の指数は株式市場のパフォーマンスを測定するものでしたが、その後は様々な資産クラスを対象に、ルールに基づく透明性の高い指数が開発されました。指数は現在、これまでアクティブ運用でしか実現できないと考えられていた複雑な戦略のパフォーマンスを測定することも可能となっています。

様々な市場や資産クラスに関する指数データが広く利用可能になったことに伴い、指数自体が投資商品の基礎として利用されるようになりました。指数に連動する投資商品の需要は急速に拡大しています。様々な研究が行われた結果、ほとんどのアクティブ運用ファンドが絶対ベースとリスク調整後ベースでパッシブ運用ファンドをアンダーパフォームする傾向があることが明らかになっています。例えば、2023年12月31日までの20年間において、米国籍の米国大型株ファンドの90%以上がS&P 500®をアンダーパフォームしています。また、米国大型株を中心に運用される欧州株式ファンドについても同様の傾向が見られます。2023年12月31日までの10年間において、こうしたアクティブ運用ファンドの90%以上がS&P 500をアンダーパフォームしています。

3.     最近ではS&P 500均等加重指数の人気が高まっている。その背景にある要因は何か?

投資家の間では、人工知能(AI)が企業の成長見通しに及ぼす潜在的影響が注目されています。こうした中で、米国株式市場ではここ1年ほどの間、一部の超大型IT企業が市場平均を上回るパフォーマンスを上げています。その結果、S&P 500に占める超大型企業の割合が数十年ぶりの高水準に達しています。S&P 500に占める時価総額上位5社の累積ウェイトは2024年3月末時点で25.3%となっており、これは1970年12月ぶりの高水準です。

このように、指数における銘柄の集中度が高まっていますが、S&P 500は米国大型株のパフォーマンスを測定するという本来の目的を引き続き達成しています。しかし、多くの投資家は超大型株へのエクスポージャーを抑えたいと考えており、こうした中で均等加重ファンドの人気が高まっています。また、超大型株に集中している現在の状況は長続きせず、やがて元の状態に戻るとの見方も多いため、このことも均等加重ファンドの人気につながっていると考えられます。

S&P 500均等加重指数は、S&P 500の構成銘柄を均等加重した指数であり、時価総額が比較的小さい銘柄にも均等にウェイトを割り当てています。この均等加重指数は四半期ごとにリバランスを行っており、時価総額が比較的大きい銘柄のウェイトが相対的に低くなります。S&P 500とS&P 500均等加重指数のメソドロジーの違いにより、ここ1年間において両指数のパフォーマンスにも差が生じています。銘柄の集中度が高まれば、両指数のパフォーマンスの差も拡大することになります。

一般に、時価総額の大きい企業がアウトパフォームすれば、銘柄の集中度が高まり、均等加重指数が時価総額加重指数をアンダーパフォームします(均等加重指数は、時価総額の大きい企業による影響を相対的に受けにくい)。一方、時価総額の小さい企業がアウトパフォームすれば、銘柄の集中度が低下し、均等加重指数が時価総額加重指数をアウトパフォームする傾向があります(均等加重指数では、時価総額の小さい企業のウェイトが相対的に大きい)。

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S&P 500® ESG指数の流動性エコシステムの拡大

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Aran Spivey

Senior Analyst, Sustainability Indices

S&P Dow Jones Indices

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Michael Orzano

Head of Global Exchanges Product Management

S&P Dow Jones Indices

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Igor Zilberman

Senior Lead, Capital Market Investment Strategy

S&P Dow Jones Indices

はじめに

S&P 500 ESG 指数は2019年に算出を開始して以降、S&P 500に対する持続可能な代替手段を提供する上で重要なベンチマークとして注目されています。S&P 500 ESG指数をベンチマークとする金融商品の運用資産残高(AUM)は着実に増加しています(図表1を参照)。一方、S&P 500 ESG指数をベンチマークとする金融商品のネットワークの拡大に伴って、同指数は流動性に関しても注目に値します。S&P 500 ESG指数に連動する上場投資信託(ETF)、先物、及びオプションなどのエコシステムに基づく取引高は、S&P 500の巨大な規模に比べると小さく見えるものの、市場における他の金融商品とは比較にならず、米国株式に関する最も流動性の高いサステナビリティ指数として、この指数の地位を確固たるものにしています。

S&P 500® ESG指数の流動性エコシステムの拡大: 図表 1

この指数について

2023年9月29日現在、S&P 500 ESG指数にはS&P 500の319の構成銘柄が含まれています。S&P 500 ESG指数は、S&P 500自体の多くの属性を反映すると同時に、サステナビリティ特性の改善を提供することを目指しています。このことは、様々なサステナビリティに関する除外項目を適用し、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスのESGスコアを使用してS&P 500 における世界産業分類基準(GICS)の各産業グループの時価総額の75%を目標とすることによって達成されます。この指数の構築プロセスは図表2に概要が示されています。

S&P 500® ESG指数の流動性エコシステムの拡大: 図表 2

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TalkingPoints: S&P 配当君主指数:配当貴族指数シリーズにおける新 たな指数

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Jason Ye

Director, Factors and Thematics Indices

S&P Dow Jones Indices

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Izzy Wang

Senior Analyst, Factors and Dividends

S&P Dow Jones Indices

S&P 配当君主指数は、米国市場において50年以上連続して毎年増配している長寿企業のパフォーマンスを測定するように設計されています。S&P 配当君主指数は、半世紀以上にわたる市場の変動に耐え、増配を継続するとともに、底堅い値動きを示している銘柄で構成されています。S&P 配当君主指数は、S&P 配当貴族®指数シリーズにおける新たな指数であり、厳しい採用基準が設けられています。

  1. 配当君主指数を構築した理由

S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスは世界有数の配当指数プロバイダーであり、他社に先駆けて配当成長戦略の開発に取り組んできました。当社のリサーチ・チームは1980年代初頭以降、米国市場で10年以上連続して毎年増配している企業を監視し始めました。2000年代初頭において、連続して増配する企業の数が増える中で、当社は連続増配年数の基準を25年に引き上げ、この基準を満たす銘柄が「米国配当貴族」の最初の構成銘柄となりました。2005年5月にはS&P 500®配当貴族指数の算出を正式に開始し、この指数は市場で最も知名度の高い配当成長戦略の1つとなりました。それ以降、当社はS&P 配当貴族指数シリーズの拡充を図っており、中型株や小型株、さらにはグローバル市場などをカバーする配当指数を提供してきました。2023年4月現在、S&P 配当貴族指数に連動する上場投資信託(ETF)の運用資産残高は合計で400億ドル以上に上っています。

S&P 500配当貴族指数の算出を開始してから20年近く経過しており、同指数の構成銘柄数は57から66に増加しています。

過去5年間において、50年以上連続して増配している企業の数が増えており(図表1参照)、大型株ユニバース(S&P 500)だけでなく、中小型株ユニバース(S&P 中型株®400指数及びS&P 小型株600®指数)においても同様の傾向が見られます。2023年1月時点において、S&P コンポジット1500指数の中で50年以上連続して増配している企業は30社以上ありました。幅広い業種/時価総額グループの中から、新たな指数コンセプトに合った銘柄を選択し、S&P 配当君主指数を構築しました。

TalkingPoints: S&P 配当君主指数―配当貴族指数シリーズにおける新たな指数: 図表 1

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S&P 500® ESG指数: サステナブル・コアの定義

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María Sánchez

Director, Sustainability Index Product Management, U.S. Equity Indices

S&P Dow Jones Indices

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Stephanie Rowton

Director, Head of Sustainability Indices EMEA

S&P Dow Jones Indices

はじめに

サステナブル投資が拡大する中で、当社は2019年1月にS&P 500 ESG指数の算出を開始しました。環境、社会、及びガバナンス(ESG)データに基づく指数は、企業が持続可能性に積極的に取り組んでいることを示すための単なる手段ではなく、投資家のポートフォリオにおいて小さな役割しか果たさない戦術的な投資を管理するためのツールでもありません。S&P 500 ESG指数及びその他のサステナビリティ指数は、戦略的かつ長期的な主要投資商品の基礎となるように構築されています。

ここ数十年にわたり、様々な利害関係者や目標を考慮しながら事業運営を行っている企業は、ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックスのようなESG指数に採用されてきました。しかし、世界的に有名なESG指数の採用基準は非常に厳しいため、ESG評価が最も高い一握りの企業しかESG指数に採用されていないのが現状です。したがって、これらの指数では構成銘柄が偏る傾向があり、個人投資家や機関投資家はそれに伴うリスクを懸念しています。

S&P 500 ESG指数では、構成銘柄の選択基準にESG要因を組み込むと同時に、ベンチマークと同等のパフォーマンスを提供することを目標としています。S&P 500 ESG指数は、S&P 500構成銘柄の中の300社以上を採用しているため、S&P 500が持つ多くの特徴を反映する一方で、S&P 500より優れたサステナビリティ特性を示しています。

本レポートでは、S&P 500 ESG指数の概要を説明します。この指数の特徴は以下の通りです:

- 指数メソドロジーが理解しやすい
- 過去のデータが示すように、S&P 500 ESG指数とS&P 500のリスク調整後パフォーマンス特性が似ている
- S&P 500 ESG指数はS&P 500よりも優れたESG特性を示している
- S&P 500 ESG指数のメソドロジーに従い、企業を適切に分類・選択することができる

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TalkingPoints: SPIVA®の20年間の影響を評価する

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Tim Edwards

Managing Director and Global Head of Index Investment Strategy

S&P Dow Jones Indices

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Craig Lazzara

Managing Director, Index Investment Strategy

S&P Dow Jones Indices

1.  SPIVAとは何ですか?また、S&P DJIが20年前にこのレポートの発表を開始した理由は何ですか?

ティム:「SPIVA」とは「S&P Indices Versus Active Funds」の略であり、当社はアクティブ運用ファンドとそれぞれのベンチマークのパフォーマンスを詳細に比較し、その結果をリサーチ・レポートにまとめて定期的に発行しています。アクティブ運用とパッシブ運用のメリットとデメリットについて長い間議論が続いている中で、この論争に対して情報を提供することがSPIVAスコアカードの主な役割です。このスコアカードでは、世界中の様々な市場を対象に調査を行い、アクティブ運用ファンドが短期と長期の両方の投資期間において、どの地域で(どの時期に)好調な(または低調な)パフォーマンスを上げているかを検証します。また、アクティブ運用ファンドのパフォーマンスに関する幅広い詳細な統計値や分析も提供しています。

2.   SPIVAは指数プロバイダーが提供するレポートです。公平な立場でデータを検証し、偏りのないレポートを作成するために、どのような対応を行っていますか?

ティム:重要なことは、当社に都合の良い調査結果が得られた時にだけレポートを公表するのではなく、予め決められたスケジュール(通常は年2回)に従ってレポートを公表するということです。過去において、アクティブ運用の米国株式ファンドの大半がS&P 500®をアウトパフォームした時があり、おそらくこうしたことが再び起こり得ると考えられます。そのような場合でも、当社は調査結果をありのままに公表します。より一般的に、SPIVAスコアカードでは、個々のファンド・カテゴリーにおいて特に短期の投資期間でアクティブ運用ファンドがベンチマークをアウトパフォームすることがあり、世界中のレポートでこうした事例が見られます。また、このスコアカードは公に入手可能なデータに基づいて作成されており、メソドロジーは完全に開示されています。関心のあるサードパーティは当社の調査結果をチェックすることが可能であり、実際にチェックが行われることがあります。

クレイグ:SPIVAに限らず、どのような分析作業でも、その根拠となるデータが重要であるため、慎重にデータ収集を行う必要があります。アクティブ運用ファンドとベンチマークのパフォーマンスを比較し、SPIVAスコアカードと同様の調査結果に到達した研究は過去に何度もありました。こうした研究が初めて行われたのは90年前のことでした1。この研究では、「良好なパフォーマンスを示した個別ファンドに関する統計的テストでは、そうしたパフォーマンスが運用スキルによってもたらされたことを実証することは困難であり、それは偶然の結果である可能性の方が高い」との調査結果が得られました。これは、現在のSPIVAレポートの読者であれば容易に予想できる結論であると言えます。

3.   ここ20年間でこのレポートはどのように進化しましたか?

クレイグ:SPIVAは調査対象を大幅に拡大しています。当社が最初に発行したSPIVAレポートは米国市場のみを対象とし、比較カテゴリー(大型株、中型株、小型株、グロース株、バリュー株、混合、及び全てのスタイル)はわずか12に過ぎませんでした。それ以降、SPIVAは調査対象を9つの地域に拡大し、現在では世界中の100を超える様々なアクティブ・ファンド・カテゴリーのパフォーマンスを報告しています。

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