はじめに
iBoxxアジア・ボンド・ファンド(ABF)汎アジアは、東アジア・オセアニア中央銀行役員会議(EMEAP)が創設したアジア・ボンド・ファンド2(ABF2)の公式ベンチマークであり、2005年に設定されました。この取り組みは、アジア地域の現地通貨建て債券市場の発展を促進するためのものであり、9つの現地通貨建てパッシブ債券ファンドに投資を行います1。ABF2の主な目的の1つは、アジア地域の現地通貨建て債券市場において、低コストで効率的に投資できる環境を整えることであり、外国人投資家の参加を促進することも目的としています。また、(当時は)比較的新しい資産クラスであったアジアの現地通貨建て債券市場に対する投資家の認知度を高めるとともに、アジアの債券市場に対する一般的な関心を喚起することも目的としています。
iBoxx ABF汎アジアは、比較的信用リスクの低い指数であり、アジアの8つの市場(中国、香港、インドネシア、マレーシア、シンガポール、韓国、タイ、及びフィリピン)で発行された現地通貨建てのソブリン債及び準ソブリン債で構成されています。
この指数が設定されて以降、この指数と8つの各市場は大きな変化を遂げました。本レポートでは、これらの主な変化について説明するとともに、この指数が2005年に算出を開始して以降の指数メソドロジーの主な変更点についても説明します。また、近年におけるアジア現地通貨建て債券のパフォーマンスや投資需要についても考察するほか、分散されたグローバル・ポートフォリオにおいてアジアの債券が提供する分散効果についても検証します。
市場の発展
2010年以降、iBoxx ABF汎アジアの現地通貨建て国債市場の規模は16.2%の年平均成長率(CAGR)で成長しています。債券市場の成長率は各国ごとに異なっており、このことはiBoxx ABF汎アジアを構成する国々が、発展段階、金融改革、貿易依存度、市場の成熟度、及び現地通貨建て国債の需給などの点で異なっていることを示しています。