ケンブリッジ・アソシエイツのプライベート投資ベンチマークの概要
ケンブリッジ・アソシエイツは50年以上にわたり、寄付基金、財団、ファミリー・オフィス、年金基金などの機関投資家と協働し、投資家の目標に沿ったポートフォリオの構築とその調整に取り組んできました。同社はプライベート市場投資の草分け的存在であり、プライベート市場の資産クラス、投資戦略、及び地域特性などに精通しています。こうした知識や経験に基づき、同社はプライベート市場の発展に貢献するとともに、重要なアドバイザーとしての役割も果たしています。同社は数十年にわたって機関投資家にアドバイスを提供し、プライベート市場のファンド・マネージャーと協働する中で、大規模なプラットフォームを構築してきました。このプラットフォームでは、98,000件以上の投資、10,000本以上のプライベート投資ファンド、及び15,000以上の運用指標をカバーしており、同社は6,600以上のジェネラル・パートナー(GP)との関係を維持しています。
ケンブリッジ・アソシエイツがプライベート市場のベンチマークを開発した当初の目的は、機関投資家が運用するプライベート投資ポートフォリオを評価することでした。同社は現在もこれらのベンチマークを活用し、プライベート市場投資に関するアドバイスを機関投資家に提供しています。しかし、プライベート市場の成長に伴い、ベンチマークを構成する投資や戦略の数は大幅に増加しています。これらのベンチマークはルールベースのアプローチに従い、ケンブリッジ・アソシエイツが確立した明確な分類基準に基づいて構築されています。
プライベート市場のベンチマーク評価
プライベート市場は最も急速に成長している市場セグメントの一つですが、同時に最も透明性の低い市場でもあります。また、リターンのばらつきが大きいこともプライベート市場の特徴と言えます。したがって、ベンチマークを使用してプライベート市場のパフォーマンスを評価する場合には、公開市場と比べてより複雑な分析が必要となります。また、ファンド・マネージャーが市場をアウトパフォームしているかどうかを判断する上では、パフォーマンス・カーブ上の異なる地点でリターンを測定する必要があります。ベンチマークを使用してパフォーマンスを評価する際に、プライベート市場と公開市場では大きな違いがあります。例えば、プライベート市場と公開市場では、企業の情報開示要件や、財務諸表の公表頻度などが異なります。また、プライベート市場では、投資や売却のタイミングを決定する上で、ファンド・マネージャーがより大きな裁量権を持っています。プライベート投資のパフォーマンスを正確にベンチマーク評価するためには、慎重かつ体系的なプロセスが必要であり、最も信頼できる情報源からパフォーマンス・データを入手することが求められます。プライベート市場において、この最も信頼できる情報源とは、ファンドの財務諸表です。
データの情報源が重要
ケンブリッジ・アソシエイツでは、プライベート投資ファンドの運用会社からデータを直接入手しています。運用会社は、あらゆる投資戦略や地域について匿名でデータを提供し、ケンブリッジ・アソシエイツはこれらのデータに基づいてベンチマークを作成します。ケンブリッジ・アソシエイツは正確なデータを入手するために、運用会社を慎重に審査し、データを入手する運用会社を選別しています。したがって、同社のベンチマークは、機関投資家の投資対象となりうる質の高いファンドで構成されています(機関投資家とは、寄付基金、財団、年金基金、ソブリン・ウェルス・ファンド、及び大規模なファミリー・オフィスなど)。このデータ収集プロセスは、公開情報に基づいて構築されるプライベート市場ベンチマークとは異なります。公開情報に基づくプライベート市場ベンチマークでは、米国の情報自由法(FOIA)を通じて収集されたデータや、公に入手可能なデータに依存する場合が多いため、正確で迅速なデータ収集が困難となる場合があります。
ケンブリッジ・アソシエイツのプライベート投資ベンチマーク・ユニバースは、幅広くかつ細かい市場セグメントをカバーしているため、プライベート市場における多様な投資機会を反映しています。同社のベンチマークは、プライベート・エクイティ、ベンチャー・キャピタル、プライベート・クレジット、及び実物資産という4つの主要戦略に分類することができます。また、ケンブリッジ・アソシエイツはプライベート・エクイティとベンチャー・キャピタルを組み合わせた混合ベンチマークも算出しています。上記の4つの主要戦略はサブ・カテゴリーに分類されており、バイアウト、グロース・エクイティ、劣後キャピタル、ディストレスト・デット、インフラストラクチャー、不動産、セカンダリー、及びファンド・オブ・ファンズなどのサブ・カテゴリーが存在します。さらに、これらのサブ・カテゴリーは、地域、規模、またはセクター別に細分化されています。