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S&P 500上位20セレクト指数の概要

S&P 500上位20セレクト指数:超大型株のパフォーマンスを詳細に検証

現在の割安なバリュエーション及びダウンサイド・プロテクション:S&P 高配当貴族指数

増配を続けている企業のパフォーマンスはインフレやベンチマークをどの程度上回っているか?

SPIVA 日本スコアカード(2023 年末版):日本株のアクティブ 運用マネージャーにとって厳しい結果

S&P 500上位20セレクト指数の概要

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Fei Wang

Senior Analyst, U.S. Equity Indices

S&P Dow Jones Indices

S&P 500®は、 米国大型株の値動きを示す代表的な株価指数です。S&P 500の500社の中で、時価総額上位の銘柄はここ数年においてアウトパフォームしていることから、大きな注目を浴びています。S&P 500の中で時価総額が特に大きい超大型株に対する関心が高まっているため、S&P DJIは最近、S&P 500上位20セレクト指数シリーズの算出を開始しました。

S&P 500上位20セレクト指数シリーズは現在、3つのヘッドライン指数で構成されています (S&P 500上位20セレクト指数S&P 500上位20セレクト35/20キャップド指数、及び S&P 500上位20セレクト・アンキャップド指数)。

これらの指数は、S&P 500の中で時価総額が大きい上位20社のパフォーマンスを測定します。各指数はそれぞれ異なるキャッピング・メカニズムを採用しており、様々な分散要件を念頭に置いて設計されています。各指数は直近の市場動向を反映するために、四半期ごとに再構成とリバランスを行います 。

S&P 500 Top 20 Select Indices 소개: Exhibit 1

時価総額上位20社を選んで指数を構築する理由

S&P 500は、大型株のベンチマークとしての役割を果たしている一方で、S&P 500上位20セレクト指数シリーズは、S&P 500の中で時価総額が大きい上位4%(20社)の企業に注目します。S&P 500上位20セレクト指数シリーズは、過去5年間(2022年を除く)や、長期の投資期間においてS&P 500をアウトパフォームしています(図表2参照)。

S&P 500 Top 20 Select Indices 소개: Exhibit 2

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S&P 500上位20セレクト指数:超大型株のパフォーマンスを詳細に検証

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Fei Wang

Senior Analyst, U.S. Equity Indices

S&P Dow Jones Indices

このブログ・シリーズのパート1では、S&P 500上位20セレクト指数の構築方法や、株式市場における重要性などについて紹介しました。今回のパート2では、この指数の過去のパフォーマンスや、他の類似指数に対する相対パフォーマンスについて詳しく掘り下げていきます。

S&P 500上位20セレクト指数シリーズの3つのヘッドライン指数はこれまで、キャッピング方式の違いにもかかわらず、同様の累積リターンを示してきました。これは、指数のキャッピング基準(上限)に抵触するような超大型株が非常に少なかったためです。これら3つの指数は2008年の世界金融危機後の10年余りにおいて S&P 500 をアンダーパフォームしたものの、コロナ禍後にはアウトパフォームしており、これは情報技術セクターをオーバーウェイトとしていたことによるものと言えます(図表1参照)。

S&P 500 Top 20 Select 지수: 초대형주 성과에 대한 심층분석: Exhibit 1

図表2は、為替の影響を考慮したパフォーマンスを示しています。過去10年間において、S&P 500上位20セレクト35/20キャップド指数(英ポンド)のパフォーマンスを牽引した要因の1つは、ブレグジット(英国の欧州連合離脱)後に対米ドルで英ポンド安が進んだことでした。同様に、S&P 500上位20セレクト指数(TTM)(日本円)は2022年末にパフォーマンスの改善が見られました。これは日米の金利差拡大により、日本円に下落圧力がかかったことを反映している可能性があります。

S&P 500 Top 20 Select 지수: 초대형주 성과에 대한 심층분석: Exhibit 2

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現在の割安なバリュエーション及びダウンサイド・プロテクション:S&P 高配当貴族指数

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George Valantasis

Associate Director, Factors and Dividends

S&P Dow Jones Indices

前回のブログでは、S&P 高配当貴族指数®S&P コンポジット1500指数®をアウトパフォームしていることや、S&P 高配当貴族指数®が長期の米国債及び消費者物価指数(CPI)の伸び率を上回るリターンを上げていることについて説明しました。今回のブログでは、S&P 高配当貴族指数のバリュエーションがS&Pコンポジット1500指数と比べて割安であり、S&P 高配当貴族指数の配当利回りがS&P コンポジット1500指数を上回っていることについて検証します。さらに、株式市場が大幅に下落した局面において、S&P 高配当貴族指数が強力なダウンサイド・プロテクションを提供していることについても検証します。

バリュエーションの比較

図表1~5は、S&P コンポジット1500指数に対するS&P 高配当貴族指数の現在のバリュエーションと、過去との比較を示しています。図表1が示している通り、株価純資産倍率、株価売上高倍率、株価収益率の3つの指標、及びコンポジット・ベース(3つの指標の単純平均)に基づくと、S&P 高配当貴族指数は2024年3月28日現在、S&P コンポジット1500指数に対してそれぞれ22.4%、38.3%、20.7%、及び27.1%割安な水準で取引されています。2020年9月には、S&P 高配当貴族指数はS&P コンポジット1500指数に対して40%割安な水準で取引されていました。その時と比べると現在はそれほど割安ではないものの、それでも現在の水準は過去と比較して81パーセンタイルの割安度となっています。

現在の割安なバリュエーション及びダウンサイド・プロテクション:S&P 高配当貴族指数: 図表 1

現在の割安なバリュエーション及びダウンサイド・プロテクション:S&P 高配当貴族指数: 図表 2

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増配を続けている企業のパフォーマンスはインフレやベンチマークをどの程度上回っているか?

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Wenli Bill Hao

Director, Factors and Dividends Indices, Product Management and Development

S&P Dow Jones Indices

米10年国債利回りは4.5%前後で推移しており、投資家は大きなリスクを取らなくても、魅力的な利回りを確保できるかもしれません。しかし、重要なのは物価が上昇する中で実質的な購買力を維持できるかということです(インフレを加味すると、1999年12月の1,000米ドルは、2024年3月時点では538米ドルの価値しかありません)。インフレと連動する、あるいはインフレを上回るインカムとトータル・リターンを追求する投資家にとって、質の高い配当戦略は魅力的な選択肢であると考えられます。

S&P 高配当貴族指数は約20年前に算出を開始しており、S&P コンポジット1500®指数の構成銘柄の中で20年以上連続して増配している企業のパフォーマンスに連動することを目指しています。このブログでは、この指数の過去の配当成長やリスク/リターンの統計値を検証し、この指数が優良企業のパフォーマンスにどのように連動する傾向があるかを明らかにします。

配当成長、パフォーマンス、及びインフレ

歴史的に見ると、S&P 高配当貴族指数は、長期にわたりインフレ率を上回るペースで増配を行っている企業のパフォーマンスに連動しています。2000年から2023年までの期間において、米ドル建ての配当は4.96%の年平均成長率(CAGR)で増加し、同期間の消費者物価指数(CPI)2を容易に上回りました。

インカム志向の投資家は、長期債と高配当銘柄を互いの代替と見なす場合があります。しかし、S&P 米国債10年超指数の年率リターンは2.55%に過ぎず、ここ15年間にわたりCPIの伸び率を下回っています。一方、S&P 高配当貴族指数は同期間において年率13.86%のリターンを上げており、さらに調査した全ての期間においてCPIの伸び率を上回っています。最後に、S&P 高配当貴族指数はベンチマークであるS&P コンポジット1500指数を全期間にわたり大幅にアウトパフォームしています。

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SPIVA 日本スコアカード(2023 年末版):日本株のアクティブ 運用マネージャーにとって厳しい結果

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Sue Lee

Director, APAC Head of Index Investment Strategy

S&P Dow Jones Indices

S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスは 2002 年に SPIVA 米国スコアカードを最初に発行しました。それ以降、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスはアクティブ運用ファンドとベンチマーク指数のパフォーマンスを比較したレポートを定期的に発行しており、ファンドやファンド・カテゴリーの数が世界的に増加する中でこの取り組みを続けています1。

SPIVA 日本スコアカードでは 2014 年以降、日本で設定されたアクティブ運用ファンドのパフォーマンスを評価しており、大型株、中型株、及び小型株セグメントに加え、国際株式ファンド及びグローバル株式ファンドも対象としています。ここ数年間にわたり、日本のアクティブ運用ファンドの大半が、それぞれのファンド・カテゴリーにおいてベンチマークをアンダーパフォームしています。図表 1 では、2023 年 12 月 31 日までの 1 年、3 年、5 年、及び 10 年の期間において日本のアクティブ運用ファンドがベンチマークをアンダーパフォームした割合を示しています。

SPIVA日本スコアカード(2023年末版)1

日本では長期にわたりデフレが続いていましたが、2023 年にはデフレ脱却を果たし、日本株は大きく反発しました。一方、日本のアクティブ運用マネージャーにとっては厳しい年となりました。2023 年通期において日本の国内株式ファンド(全ての日本株カテゴリー)の 78%が S&P 日本 500 指数をアンダーパフォームしました。株式ファンドの 3 分の 2 以上がそれぞれのベンチマークをアンダーパフォームし、米国株式を除くほぼ全てのカテゴリーにおいて、アンダーパフォームした割合がそれぞれの 10 年平均を上回りました(図表 2 参照)。

SPIVA日本スコアカード(2023年末版)2

日本のアクティブ運用ファンドの大半が 2023 年にアンダーパフォームしたのはなぜでしょうか?多くの説明が可能ですが、主に 3 つの要因があったと考えられます。

  1. 大型株のアウトパフォーマンス:2023 年における主な市場トレンドの 1 つは、大型株がアウトパフォームしたことでした。米国市場ではこうした動きが顕著に見られ、アップル、アマゾン、アルファベット、メタ、マイクロソフト、テスラといったいわゆる「マグニフィセント・セブン」が 2023 年の S&P 500®のリターンの58%に貢献しました。日本でも同様に、大型株で構成される S&P/TOPIX 150 が2023 年に S&P 日本中小型株指数を 4%アウトパフォームしたことで、市場における集中度が高まりました(図表 3 参照)。時価総額が小さく、あまり知られていない銘柄の中から超過収益の源泉を探したアクティブ運用マネージャーにとって、こうした市場環境が不利に働きました。

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