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増配を続けている企業のパフォーマンスはインフレやベンチマークをどの程度上回っているか?

現在の割安なバリュエーション及びダウンサイド・プロテクション:S&P 高配当貴族指数

SPIVA 日本スコアカード(2023 年末版):日本株のアクティブ 運用マネージャーにとって厳しい結果

アジアの投資家向けの2023 年市場レビュー

アクティブ運用ファンドはS&P 500 配当貴族指数をアウトパフォームできるか?

増配を続けている企業のパフォーマンスはインフレやベンチマークをどの程度上回っているか?

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Wenli Bill Hao

Director, Factors and Dividends Indices, Product Management and Development

S&P Dow Jones Indices

米10年国債利回りは4.5%前後で推移しており、投資家は大きなリスクを取らなくても、魅力的な利回りを確保できるかもしれません。しかし、重要なのは物価が上昇する中で実質的な購買力を維持できるかということです(インフレを加味すると、1999年12月の1,000米ドルは、2024年3月時点では538米ドルの価値しかありません)。インフレと連動する、あるいはインフレを上回るインカムとトータル・リターンを追求する投資家にとって、質の高い配当戦略は魅力的な選択肢であると考えられます。

S&P 高配当貴族指数は約20年前に算出を開始しており、S&P コンポジット1500®指数の構成銘柄の中で20年以上連続して増配している企業のパフォーマンスに連動することを目指しています。このブログでは、この指数の過去の配当成長やリスク/リターンの統計値を検証し、この指数が優良企業のパフォーマンスにどのように連動する傾向があるかを明らかにします。

配当成長、パフォーマンス、及びインフレ

歴史的に見ると、S&P 高配当貴族指数は、長期にわたりインフレ率を上回るペースで増配を行っている企業のパフォーマンスに連動しています。2000年から2023年までの期間において、米ドル建ての配当は4.96%の年平均成長率(CAGR)で増加し、同期間の消費者物価指数(CPI)2を容易に上回りました。

インカム志向の投資家は、長期債と高配当銘柄を互いの代替と見なす場合があります。しかし、S&P 米国債10年超指数の年率リターンは2.55%に過ぎず、ここ15年間にわたりCPIの伸び率を下回っています。一方、S&P 高配当貴族指数は同期間において年率13.86%のリターンを上げており、さらに調査した全ての期間においてCPIの伸び率を上回っています。最後に、S&P 高配当貴族指数はベンチマークであるS&P コンポジット1500指数を全期間にわたり大幅にアウトパフォームしています。

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現在の割安なバリュエーション及びダウンサイド・プロテクション:S&P 高配当貴族指数

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George Valantasis

Associate Director, Factors and Dividends

S&P Dow Jones Indices

前回のブログでは、S&P 高配当貴族指数®S&P コンポジット1500指数®をアウトパフォームしていることや、S&P 高配当貴族指数®が長期の米国債及び消費者物価指数(CPI)の伸び率を上回るリターンを上げていることについて説明しました。今回のブログでは、S&P 高配当貴族指数のバリュエーションがS&Pコンポジット1500指数と比べて割安であり、S&P 高配当貴族指数の配当利回りがS&P コンポジット1500指数を上回っていることについて検証します。さらに、株式市場が大幅に下落した局面において、S&P 高配当貴族指数が強力なダウンサイド・プロテクションを提供していることについても検証します。

バリュエーションの比較

図表1~5は、S&P コンポジット1500指数に対するS&P 高配当貴族指数の現在のバリュエーションと、過去との比較を示しています。図表1が示している通り、株価純資産倍率、株価売上高倍率、株価収益率の3つの指標、及びコンポジット・ベース(3つの指標の単純平均)に基づくと、S&P 高配当貴族指数は2024年3月28日現在、S&P コンポジット1500指数に対してそれぞれ22.4%、38.3%、20.7%、及び27.1%割安な水準で取引されています。2020年9月には、S&P 高配当貴族指数はS&P コンポジット1500指数に対して40%割安な水準で取引されていました。その時と比べると現在はそれほど割安ではないものの、それでも現在の水準は過去と比較して81パーセンタイルの割安度となっています。

現在の割安なバリュエーション及びダウンサイド・プロテクション:S&P 高配当貴族指数: 図表 1

現在の割安なバリュエーション及びダウンサイド・プロテクション:S&P 高配当貴族指数: 図表 2

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SPIVA 日本スコアカード(2023 年末版):日本株のアクティブ 運用マネージャーにとって厳しい結果

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Sue Lee

Director, APAC Head of Index Investment Strategy

S&P Dow Jones Indices

S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスは 2002 年に SPIVA 米国スコアカードを最初に発行しました。それ以降、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスはアクティブ運用ファンドとベンチマーク指数のパフォーマンスを比較したレポートを定期的に発行しており、ファンドやファンド・カテゴリーの数が世界的に増加する中でこの取り組みを続けています1。

SPIVA 日本スコアカードでは 2014 年以降、日本で設定されたアクティブ運用ファンドのパフォーマンスを評価しており、大型株、中型株、及び小型株セグメントに加え、国際株式ファンド及びグローバル株式ファンドも対象としています。ここ数年間にわたり、日本のアクティブ運用ファンドの大半が、それぞれのファンド・カテゴリーにおいてベンチマークをアンダーパフォームしています。図表 1 では、2023 年 12 月 31 日までの 1 年、3 年、5 年、及び 10 年の期間において日本のアクティブ運用ファンドがベンチマークをアンダーパフォームした割合を示しています。

SPIVA日本スコアカード(2023年末版)1

日本では長期にわたりデフレが続いていましたが、2023 年にはデフレ脱却を果たし、日本株は大きく反発しました。一方、日本のアクティブ運用マネージャーにとっては厳しい年となりました。2023 年通期において日本の国内株式ファンド(全ての日本株カテゴリー)の 78%が S&P 日本 500 指数をアンダーパフォームしました。株式ファンドの 3 分の 2 以上がそれぞれのベンチマークをアンダーパフォームし、米国株式を除くほぼ全てのカテゴリーにおいて、アンダーパフォームした割合がそれぞれの 10 年平均を上回りました(図表 2 参照)。

SPIVA日本スコアカード(2023年末版)2

日本のアクティブ運用ファンドの大半が 2023 年にアンダーパフォームしたのはなぜでしょうか?多くの説明が可能ですが、主に 3 つの要因があったと考えられます。

  1. 大型株のアウトパフォーマンス:2023 年における主な市場トレンドの 1 つは、大型株がアウトパフォームしたことでした。米国市場ではこうした動きが顕著に見られ、アップル、アマゾン、アルファベット、メタ、マイクロソフト、テスラといったいわゆる「マグニフィセント・セブン」が 2023 年の S&P 500®のリターンの58%に貢献しました。日本でも同様に、大型株で構成される S&P/TOPIX 150 が2023 年に S&P 日本中小型株指数を 4%アウトパフォームしたことで、市場における集中度が高まりました(図表 3 参照)。時価総額が小さく、あまり知られていない銘柄の中から超過収益の源泉を探したアクティブ運用マネージャーにとって、こうした市場環境が不利に働きました。

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アジアの投資家向けの2023 年市場レビュー

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Sue Lee

Director, APAC Head of Index Investment Strategy

S&P Dow Jones Indices

この資料は、2024122日に弊社ブログIndexology®に掲載された文書の翻訳版です。英語版と日本語版の間に内容の相違がある場合は英語版をご参照下さい。

英語版:https://www.indexologyblog.com/2024/01/22/2023-market-review-for-asian-investors/

アジアの投資家は、米国株式をポートフォリオに組み入れ、ホームカントリー・バイアス(投資家が国内資産に偏重した資産配分を行うこと)を排除することにより、ポートフォリオの分散効果を高められる可能性があります。S&P グローバル総合指数(BMI)によると、米国株式は世界の株式市場の60%近くを占めており、アジア以外では米国株式が大きな投資機会を提供しています。また、アジアと米国では、経済構造や景気サイクル、セクター・エクスポージャーなどが異なるため、このこともポートフォリオの分散効果を高める役割を果たします。S&P 500®は、米国大型株の動向を表す最良の単一尺度として広く認められている株価指数であり、S&P 500に連動する資産は推定5兆7,000億ドル1に上ります。さらに、S&P 500は指数先物やオプションを含む巨大な取引エコシステムを支えています。市場参加者は、S&P 500に連動する金融商品を活用し、米国株式を効率的に取引することができます。

アジアの投資家が2023年に米国株式をポートフォリオに組み入れていれば、大きな恩恵を受けることができました。中国で景気回復が予想より遅れ、不動産市場の低迷が長引き、米中間の緊張により市場心理が冷え込む中で、中国と香港の株式市場は相対的にアンダーパフォームし、S&P 中国総合指数とS&P 香港総合指数はそれぞれ10%及び15%下落しました(図表1参照)。一方、世界のその他の国々では、堅調な景気動向を背景に株式市場が大きく上昇しました。インフレ率の鈍化や利下げ観測の高まりを受け、世界の株式市場は10~12月期に急騰し、S&P グローバル総合指数は2023年に22%のトータル・リターン(米ドル建て)を生み出しました。米国株式市場が特に堅調なパフォーマンスとなり、S&P 500は2023年に26%のトータル・リターンを生み出し、2022年の損失(22%のマイナス)を取り戻しました。

アジアの投資家向けの2023 年市場レビュー: 図表 1

セクター・レベルでも、2023年には株価が大きく反発しました。情報技術セクターが最もパフォーマンスの高いセクターとなり、2023年に58%上昇しました(2022年には28%下落)。同セクターはS&P 500の2023年のリターンに50%以上貢献しました。コミュニケーション・サービス・セクターと一般消費財・サービス・セクターも堅調なパフォーマンスとなり、それぞれ56%及び42%上昇しました(2022年にはそれぞれ40%及び37%下落)。公益事業セクターとエネルギー・セクターだけが2023年にマイナスのリターンとなりました(2022年にはそれぞれプラスのリターン)(図表2参照)。

アジアの投資家向けの2023 年市場レビュー: 図表 2

銘柄レベルでは、2023年にはごく一部の銘柄が市場全体のリターンに大きく貢献しました。いわゆる「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる超大型7銘柄(Apple、Amazon、Alphabet、Meta、Microsoft、Nvidia、及びTesla)が2023年に平均112%上昇し、S&P 500のリターンに58%貢献しました。その中でもNvidiaは239%上昇して最高のパフォーマンスとなり、S&P 500の中で4番目に時価総額の大きい銘柄となりました(2023年初めの時点では10番目であった)。これらの超大型株が上昇したため、S&P 500均等加重指数2はS&P 500を12%アンダーパフォームし、この均等加重指数が2003年に算出を開始してから最も大幅なアンダーパフォーマンスとなりました(図表3参照)。2024年1月19日時点の年初来で、マグニフィセント・セブンが4%上昇しているのに対して、S&P 500は1%の上昇にとどまっており、2024年に入ってもこれらの超大型株は相対的に堅調なパフォーマンスを示しています。

アジアの投資家向けの2023 年市場レビュー: 図表 3

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アクティブ運用ファンドはS&P 500 配当貴族指数をアウトパフォームできるか?

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Rupert Watts

Head of Factors and Dividends

S&P Dow Jones Indices

多くのアクティブ運用ファンドが市場ベンチマークをアンダーパフォームしており、このことは調査資料でも詳細に検証されています1。本稿では、特に配当市場に焦点を当て、S&P 500配当貴族指数®とアクティブ運用米国株式インカム・ファンドのパフォーマンスを比較します。

S&P 500配当貴族指数は最も有名な配当指数の1つであり、シンプルかつ厳格な基準に従って構成銘柄を選択しています。この指数は、S&P 500構成銘柄のうち、過去25年間連続して毎年増配している優良企業のパフォーマンスを測定します。これらの企業の特徴としては、安定した収益、堅調なファンダメンタルズ、及び長期にわたる着実な成長などが挙げられます。2023年6月時点で、S&P 500配当貴族指数は67銘柄で構成されています。

一方、S&P 500配当貴族指数との比較対象となるアクティブ運用ファンドは、証券価格調査センター(CRSP)のデータベースにおける株式インカム・ファンドのカテゴリーから選択しました。今回の分析は、S&P DJIが年2回発行しているSPIVA®米国スコアカードと同じメソドロジーと分析手法を使用して行われました。

図表1に示されているとおり、S&P 500配当貴族指数をアウトパフォームすることは困難であり、過去10年間の期間で見ると、米国のアクティブ運用ファンドの98%以上がこの指数をアンダーパフォームしています。さらに、S&P 500配当貴族指数は全ての対象期間においてほとんどのアクティブ運用ファンドをアウトパフォームしています。

アクティブ運用ファンドはS&P 500 配当貴族指数をアウトパフォームできるか?: 図表 1

同様に、リターンの分析においても明確な差が見られました。図表2では、S&P 500配当貴族指数とアクティブ運用米国株式インカム・ファンドの平均年率リターンを、異なる期間にわたって比較しています(アクティブ運用ファンドの平均年率リターンは、資産加重と均等加重の2つの方法で算出)。2023年6月までの10年間の期間では、S&P 500配当貴族指数の年率リターンは12.0%であり、アクティブ運用米国株式インカム・ファンドを大幅にアウトパフォームしました。

アクティブ運用ファンドはS&P 500 配当貴族指数をアウトパフォームできるか?: 図表 2

アクティブ運用ファンドはS&P 500 配当貴族指数をアウトパフォームできるか?: 図表 3

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