エグゼクティブ・サマリー
指数効果とは、主要指数に追加、あるいは主要指数から除外される証券に関連する推定超過リターンのことを指します。指数効果についてはここ何十年にもわたり研究されてきましたが、パッシブ投資が拡大し、それに伴って指数への連動を目指す投資家(指数構成銘柄の変更に対応する)の売買圧力により、銘柄のリターンが影響を受けるかもしれないといった思惑が高まる中で、指数効果はここ数年においてますます注目されるようになっています。
本資料では、1995年初めから2021年6月までのS&P 500における銘柄の追加と除外について分析しています。S&P 500は世界で最も幅広くベンチマークとして採用されている指数(2020年末時点で13兆5,000億ドルの資産がこの米国大型株指数に連動するか、この指数をベンチマークとしていた)であり、ここではS&P 500に注目します。また、パッシブ投資の拡大が指数効果に寄与するのであれば、このことはS&P 500の銘柄の追加や除外の中に表れるのではないかと予想されます。
全体として、当社の分析は既存の文献にすでに反映されている一般的なコンセンサスを裏付けるものです:S&P 500の指数効果は構造的に低下するように思われます(図表1参照)。また、当社の分析によると、株式市場における流動性の改善により、時間の経過とともに指数効果が減衰することを示唆しています。
パッシブ投資は過去50年間にわたり非常に大きな成長を遂げました:2008年以降における指数連動の投資商品への累積資金流入は、アクティブ・ファンドへの資金流入を超えました。また、上場投資信託(ETF)業界は2007年末時点の8,070億ドルから2020年には8兆ドル近くまで拡大しました。Google ニュースを検索すると、「パッシブ投資の危険性」に関する記事が「受動喫煙の危険性」に関する記事を何倍も上回るという結果となります。パッシブ投資は、こうした根拠のない批評記事とともに成長しています。
指数効果について書かれたものは多くあります。例えば、代表的な指数に追加された銘柄は「発表日から有効日」まで指数をアウトパフォームする傾向にあり、有効日後には通常、小幅な調整があったといった内容の記事がここ30年間においてよく見られます。