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TalkingPoints: S&P GSCI 電気自動車メタル指数:電気自動車の生産に不可欠な金属を組み入れた指数

在宅勤務が浸透する中で、効率的なコラボレーションを実現する

水素経済への移行に伴う投資機会

S&P 500® は、なぜ日本にとって重要 なのか?

S&P PACTTM指数(S&P パリ協定準拠指数及び気候変動指数)を通じた1.5°Cシナリオへの移行

TalkingPoints: S&P GSCI 電気自動車メタル指数:電気自動車の生産に不可欠な金属を組み入れた指数

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Fiona Boal

Managing Director, Global Head of Equities

S&P Dow Jones Indices

世界的なエネルギー移行が進んでおり、こうした動きを支援する新たなテクノロジーに注目が集まっています。例えば、人々の日常生活では電気自動車を利用する機会が増えています。S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス(以下、「S&P DJI」という)はS&P Global Commodity Insights(以下、「SPGCI」という)と協力して、S&P GSCI 電気自動車メタル指数の算出を開始しました。この指数は、電気自動車の生産に使用されるコモディティのパフォーマンスに連動することを目指します。

1. この指数を開発するきっかけとなった要因は?

お客様の間では、エネルギー移行へのエクスポージャーを提供する投資可能なテーマ別戦略に対する需要が高まっており、こうした需要に応えてこの指数が開発されました。エネルギー移行への取り組みは、金融市場の参加者にとって大きな課題となっていますが、その一方で大きな投資機会も提供されています。コモディティ市場ほど2つの構造が明らかに存在する市場は他にありません。

歴史的に見ると、テクノロジーの発展は、コモディティ価格の下落要因として作用してきたと考えられます。技術革新によって代替品の利用が可能となり、生産性が向上したため、それほど多くの原材料を使用しなくても需要を満たすことができるようになりました。しかし、脱炭素化への取り組みでは、これとは全く逆のことが起ります。グリーン・テクノロジーの採用が進むに従い、より多くのコモディティ(特に金属)が必要になると見込まれます。内燃機関自動車(ICEV)から電気自動車(EV)への移行は、脱炭素化における最も顕著でかつ急速な動きの1つであると言えます。S&P GSCI 電気自動車メタル指数は、電気自動車に使用される金属部品のパフォーマンスを測定するように設計されています。

 

2.   今、この指数の算出を開始した理由は?

足元ではEVが主流になりつつあり、EVはもはや幼稚産業ではありません。

市場参加者は、EV市場のパフォーマンスに連動し、EV投資を評価し、EV投資戦略を策定する方法を模索しています。この指数は、EVの生産に使用される金属部品を生産量加重ベースで複製する革新的な指数となっています。SPGCIの予想によると、プラグインEVの普及を受け、2040年までにガソリン及びディーゼル燃料の消費量が世界全体で1日当たり500万バレル以上も減少する可能性があります1。その一方で、EVの生産に使用される金属の需要は増加すると予想され、特に銅やリチウムの需要は600%近く増加すると見込まれます。

EVの生産拡大に伴って、EV向けバッテリーに使用される金属(コバルトやリチウムなど)を取引する新たな商品先物市場の創設が進んでいます。流動性の高い先物市場は、コモディティ市場における価格発見機能の向上を促し、公正な価格形成に寄与します。また、流動性の高い先物市場が創設されれば、EVに使用される全ての主要金属部品の動きを反映する指数を構築することも可能となります。

 

3.   この指数はどのように構築されるか?

S&P GSCI 電気自動車メタル指数は、商品先物に基づく指数であり、EVの生産に使用される金属のパフォーマンスを反映するように設計されています。SPGCIの専門知識を活用し、指数の構成銘柄や生産量加重ウェイトを決定しており、この指数は代表的なEVにおける相対的な金属使用量を概ね反映しています。この指数では、構成銘柄のウェイト調整、追加、または除外を定期的に行っているため、EVテクノロジーの変化や、新たな金属先物取引の開始及び導入に対して柔軟に対応することが可能です。

この指数の構成銘柄は、平均的なEVにおける金属使用量に、その金属の1単位当たりの平均価格を乗じた値に基づいてウェイトが設定されます。このウェイトはEVにおける金属部品の相対的コスト(または価値)を示します。SPGCIが定義するバッテリーの金属の構成要素(コバルトやリチウムなど)のウェイトには、契約取引量要件や流動性要件に基づいて上限が設定されるため、この指数は複製可能かつ投資可能な指数となります。

 

4.   この指数を使用することにより、最も恩恵を受ける対象者は?

この指数は、金融市場全体にわたり様々な役割を果たすことが可能であると考えられます。この指数は、EVの生産に不可欠な主要金属の価格パフォーマンスに連動するベンチマークとして設計されました。また、上場取引型金融商品などの金融商品の基礎として使用することも可能です。この指数は、すでにコモディティ市場で活発に取引を行っている市場参加者にとって魅力的な商品になる可能性があります。また、伝統的にコモディティ市場にエクスポージャーを保有していないものの、エネルギー移行に関連する戦略に興味のある投資家にとっても魅力的な商品になる可能性があります。

 

5.   この指数におけるSPGCIの役割は?

SPGCIは、エネルギー移行、バッテリー用金属、及びEVなどの分野における専門知識を有しており、コモディティ市場の評価においても豊富な経験を備えているため、適切な情報に基づいてこの指数を構築することができます。SPGCIは、典型的なEVにおける金属使用量を年2回公表する予定です。この使用量データに基づき、各指数構成銘柄のウェイトを決定します。SPGCIは、EVの金属部品と、これらの部品の生産量ウェイト(キログラム単位)を公表します。この公表の前に、SPGCIは市場参加者や業界団体に対するエンゲージメント活動を行い、リサーチ・レポートやその他の関連リソースを参照することもあります。

代表的なEVにおける金属使用量に関するSPGCIの年2回のアップデートでは、新たなコモディティを含める場合があります。EVテクノロジーが変化する中で、この指数では新たな構成銘柄を指数に追加し、そうした変化を的確に反映させることに努めています。SPGCIは、EVに使用される主要部品を監視しており、バッテリーの化学的要素の変化や進化などについても注意深く見守っているため、当初の構成銘柄に新たな銘柄が追加される場合があります。

6.   この指数の構成から判断して、この指数の主なメリットは?

S&P GSCI 電気自動車メタル指数では、構成銘柄のウェイト調整、追加、または除外を定期的に行っているため、EVテクノロジーの変化や、新たな金属先物取引の開始及び導入に対して柔軟に対応することが可能です。

この指数のもう1つの重要な特性は、この指数が株式ではなく、商品先物に基づいていることです。テーマ別指数に株式市場のベータが存在する場合、これらの指数が実体経済における特定のテーマまたは構成要素のパフォーマンスを真に反映することが困難になることがあります。どの企業がEV市場の主導権を握るかを予想することは困難であるものの、EV車の製造に必要な金属の需給動向や価格パフォーマンスを測定することは比較的容易であると言えます。

 

7.  S&P DJIとSPGCIのコラボレーションにおいてユニークな点は?

S&P DJIは、ベンチマークや投資可能な指数を提供する世界有数の指数プロバイダーです。当社の指数は、市場パフォーマンスに連動し、ポートフォリオのパフォーマンスを評価し、投資戦略を開発するために広く利用されています。S&P GSCI指数をはじめとする当社のコモディティ指数シリーズは、コモディティ・ベータ、コモディティ・セクター、単一コモディティ、及びコモディティ・テーマなどに関する明確な尺度を市場参加者に提供します。

SPGCIは、コモディティ市場で主導的役割を果たしています。SPGCIは毎日、ニュース、コメント、ファンダメンタルな市場データ、リサーチ、及び分析などを提供するとともに、現物市場や先物市場でベンチマークとして広く使用されている数千もの価格評価を公表しています。

S&P GSCI 電気自動車メタル指数は、SPGCIのデータを組み込んだ初めてのS&P DJIの指数です。金属コモディティは重要な投資セグメントであり、この分野においてS&P グローバルの2つの独立した部門の専門知識を結集できることは非常に画期的なことであると言えます。我々は市場の透明性を改善することに努めており、エネルギー移行に関連する成長分野において、ユニークな投資戦略を策定する能力を市場参加者に提供することを目指しています。

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在宅勤務が浸透する中で、効率的なコラボレーションを実現する

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Jason Ye

Director, Factors and Thematics Indices

S&P Dow Jones Indices

はじめに

コロナ禍が始まって以降、経済・社会情勢は大きく変化しており、職場におけるコミュニケーションのあり方や共同作業の進め方なども大きく変化しています。人々がコロナ禍後の世界について考え始める中で、各国の企業は働き方改革に取り組んでいます。経済活動の再開が進んでおり、今後はより柔軟な勤務形態が一般的になると考えられます。したがって、従業員が効率的に共同作業を進められるよう、企業は支援体制を整える必要があります。

エンタープライズ・コラボレーションがその答えとなる可能性があります。エンタープライズ・コラボレーションとは、社内におけるコミュニケーションや業務の遂行を支援するように設計された一連のソリューションです。このソリューションを導入することで、従業員は様々なツール、プラットフォーム、グループウェア、及びネットワークなどを活用し、社内全体で連携を強化することが可能となります。エンタープライズ・コラボレーションの市場規模は2021年時点で472億ドルでしたが、2026年には858億ドルに拡大すると予想されています。S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスは、エンタープライズ・コラボレーション市場に関わる企業のパフォーマンスに連動するS&P Kenshoエンタープライズ・コラボレーション指数の算出を開始しました。

2020年から2022年にかけて、世界の企業の55%が在宅勤務制度を導入しました。エンタープライズ・コラボレーションにより、個人やチームがインターネットを通じて協力して働くことが可能となり、これによってリモートワークのスタイルが定着しました。新型コロナウイルスが発生して以

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水素経済への移行に伴う投資機会

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Jason Ye

Director, Factors and Thematics Indices

S&P Dow Jones Indices

エグゼクティブ・サマリー

第四次産業革命では、再生可能エネルギーの普及・拡大を進めるだけでなく、エネルギー・システム全体の効率化を図ることが重要となります。水素エネルギーは、各国がエネルギー転換を推進する上で重要な役割を果たす可能性があります。国際エネルギー機関(IEA)によると、2050年までに温室効果ガス排出量実質ゼロを達成するためには、低炭素の水素エネルギーの開発に1兆2,000億ドル規模の投資を行い、水素エネルギーの供給と利用を促進する必要があります。また、世界の主要自動車メーカーやエネルギー関連企業で構成する水素協議会の予測によると、世界の水素エネルギー市場は2050年までに2兆5,000億ドル規模に達する可能性があります。さらに、米エネルギー省の予測によると、水素経済への移行を促進することにより、2050年までに推定7,500億ドルの年間売上高を生み出し、累計で340万人の雇用を創出できる可能性があります。S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスは、機械学習や自然言語処理などの高度な技術を活用して算出されるS&P Kensho水素経済指数を開発しました。この指数は、水素の製造、輸送、及び貯蔵などを手掛ける企業で構成されており、水素経済に関連する企業のパフォーマンスに連動するように設計されています。本レポートでは、水素経済の概要について説明するとともに、水素経済への移行によって生じる投資機会を指数を通じて測定する方法について考察します。

はじめに

水素は、周期表の中で最も軽く、最も単純な構造を持つ元素です。また、水素は宇宙で最も多く存在する元素であり、宇宙の全質量の75%を占めると言われています。地球上の水素のほとんどは、水や有機化合物などの分子の形で存在しています。電気と同じように、水素は二次エネルギーです。水素は水から作ることができ、水素分子と酸素分子を化学反応させると電気が発生し、この過程で水または過酸化水素が生成されます。このプロセスにおける発熱量は141.80 MJ/kgであり、これはディーゼルの発熱量(44.80 MJ/kg)の3倍、石炭の発熱量(32.50 MJ/kg)の4.3倍です。ディーゼルまたは石炭とは異なり、水素を燃焼させても二酸化炭素は排出されません。水素を製造する過程で排出される二酸化炭素を低減または削減することができれば、水素はクリーンで効率的かつ持続可能なエネルギー源となります。今後数十年にわたる脱炭素社会への移行において、水素は極めて重要な役割を果たす可能性があります。

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S&P 500® は、なぜ日本にとって重要 なのか?

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Tim Wang

Senior Analyst, Global Research & Design

S&P Dow Jones Indices

  • この記事に含まれる指数 S&P 500

S&P 500 は、米国大型株の動向を表すベンチマークとして広く認められて います。同指数は米国の主要企業 500 社のパフォーマンスを測定するよう に設計されており、米国株式市場の時価総額の約 80%をカバーしていま す。2020 年末現在、S&P 500 をベンチマークとする運用資産残高だけで も 13 兆 5,000 億米ドルを超えており、この指数に連動する金融商品の運 用資産残高は約 5 兆 4,000 億米ドルに及んでいます 1 。 S&P 500 に基づ く上場取引型金融商品は世界中の様々な市場に重複上場されていますが、 米国株式(特に S&P 500)に対する海外投資家の投資需要を支えている要 因は何なのでしょうか?

このレポートでは:

  • S&P 500 と日本の主要株式ベンチマークを比較します。
  • 世界の株式市場における S&P 500 の重要性を検証します。
  • S&P 500 のパフォーマンスと米国大型株アクティブ・ファンドのパフォーマンスを比較します。

S&P 500 と東証株価指数(TOPIX)の比較

S&P 500 及び TOPIX は米国及び日本の代表的な株価指数です。両指数は 長年にわたり、国内株式や株式ファンドへの投資のベンチマークとして一 般的に使用されています 2 。ただし、米国と日本では経済情勢や金融市場 の動向が異なるため、両指数の内容も大きく異なります。

TOPIX は、東京証券取引所(第一部)に上場されている 2000 社の国内普 通株式から構成されています。一方、S&P 500 は米国の主要企業 500社か ら構成されており、米国株式市場の時価総額の約 80%を占めています。両 指数の構成銘柄は、それぞれの浮動株調整後時価総額により加重されてい ます。S&P 500 の構成銘柄数は TOPIX の構成銘柄数の 4 分の 1 に過ぎま せんが、S&P 500 の浮動株調整時価総額は、TOPIX の 10 倍となっていま す。

2021 年 10 月 29 日現在、TOPIX の構成銘柄上位 10 社は指数の 18.76%を 占めており、トヨタのウェイトが 3.71%で最も高くなっています。一方、 S&P 500 の構成銘柄上位 10 社は 30.26%を占めており、トップのマイクロ ソフトのウェイトは 6.38%となっています(図表 1 参照)。

TOPIX には東京証券取引所(第一部)に上場されている全ての国内普通株 式が含まれています。一方、S&P 500 は米国の主要企業 500社から構成さ れており、中小型株が含まれていないため、構成銘柄の平均時価総額や、1 日当たり平均取引高において、TOPIX を大幅に上回っています。S&P 500 の構成銘柄数は TOPIX より少ないものの、S&P 500 の浮動株調整後時 価総額合計と平均取引高は TOPIX を大幅に上回っています。

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S&P PACTTM指数(S&P パリ協定準拠指数及び気候変動指数)を通じた1.5°Cシナリオへの移行

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Mona Naqvi

Global Head of ESG Capital Markets Strategy

S&P Global Sustainable1

歴史的合意であるパリ協定が採択されたことを受け、人類の気候変動との戦いは大きな転機を迎えました1。国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)がまとめた報告書にも記載されているように、地球の平均気温の上昇を産業革命前の水準から1.5°C以内に抑えるべく様々な取り組みが進められています。

これまでのところ、環境意識の高い投資家は主にポートフォリオの相対的な炭素エクスポージャーを減らすことに注力してきましたが、メソドロジーが適切ではないなどの理由により、いわゆる「グリーンウォッシュ(環境に配慮しているように見せかけて、実際には環境の改善に寄与していないこと)」の問題が起きています。一時的な状況を分析しただけでは、低炭素社会への移行が着実に進んでいるかどうかを確認することはできません。こうした中で、新たなデータセットが蓄積され、革新的な指数ソリューションが開発されています。これらのソリューションを活用することで、投資家は1.5°Cシナリオに沿った投資を行い、環境負荷の軽減に貢献することが可能となります。欧州連合(EU)は、気候移行ベンチマーク(CTB)及びパリ協定準拠ベンチマーク(PAB)を定義するための基準をまとめており、CTB及びPABではともに、炭素削減に関する相対的な尺度ではなく、1.5°Cシナリオに沿った絶対的な尺度が採用されています2。当社のS&P PACT指数は、提言された基準を満たすだけでなく、その他の気候目標の達成にもつながるような革新的な投資ソリューションとなっています。この新たなサステナブル気候指数を活用することにより、投資家は以下のようなメリットを享受することができます:

  1. パリ協定に準拠するだけでなく、2050年までに温室効果ガス排出量実質ゼロを達成するために、5°Cシナリオに合致した投資を行う
  2. EU CTB及びPABの推奨基準や、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に準拠した戦略を採用し、気候変動により生じる物理的リスク、移行リスク、及び機会に配慮する
  3. 数多くの気候目標に効率的に取り組む一方で、できる限り原指数に近い構成を維持し、幅広く分散されたエクスポージャーを確保する

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