グローバル・サプライチェーンの分散化、資本市場の規制緩和、及びテク ノロジーの進歩などを背景に、グローバル市場の統合が進んでいます。グ ローバル市場の相互関係が強まるに従い、市場リターンの連動性も高まっ ており、特に危機発生時にはそうした傾向が顕著に見られます。こうした 市場環境下において、ポートフォリオ・ヘッジやリスク管理の重要が一層 高まっています。
一方、価格透明性や流動性の向上が求められている中で、上場デリバティ ブの取引量の増加が続いており、投資家は上場デリバティブをポートフォ リオに効率的に統合する方法を模索しています。
本稿では、アジアの投資家がポートフォリオ・ヘッジやリスク管理を行う 上で、S&P 500 先物及びダウ・ジョーンズ工業株平均(DJIA)先物が有用 なツールであるかどうかを検証します。S&P 500 やダウ・ジョーンズ工業 株平均は、オプション、上場投資信託(ETF)、ミューチュアル・ファン ドなど複数の分野をカバーしていますが、本稿では研究対象を先物に限定 し、アジア取引時間中の取引だけに注目します。ここでは、以下の指標を 通じて S&P 500 先物及びダウ・ジョーンズ工業株平均先物の利便性を検証 します。
- 流動性:アジア取引時間1における 2 つの米国株価指数先物の米ドル 建て取引総額。
- 市場の連動性:2 つの米国株価指数先物と 7 つのアジア主要株価指数
先物の相関(アジア取引時間終了時における先物価格の日々のリター ンを基準とする)。