エグゼクティブ・サマリー
気候変動の問題は世界経済にとって深刻なリスクであり、あらゆる人がその脅威にさらされています。世界経済の脱炭素化を推進するためには、化石燃料車から電気自動車への移行が重要なステップの1つになると考えられています。ここ数年にわたり電気自動車の普及が加速しており、世界の電気自動車の販売台数は2012年以降、毎年56%のペースで増加しています。電気自動車の2021年の販売台数は前年比で倍増し、675万台の過去最高を記録しました(図表1参照)。今後、化石燃料車の生産の制限(または禁止)、電気自動車の購入に対する税額控除、電気自動車に対する若者の人気の高まり、及び充電インフラへの膨大な投資などにより、電気自動車の需要と供給は引き続き拡大すると予想されます。エンジン車から電気自動車へのシフトが世界的に進む中で、市場参加者にとって大きな投資機会が提供されています。
電気自動車の時代が到来しつつある
20ヵ国以上の国が、今後30年間にわたり内燃機関エンジン(ICE)搭載車の新たな販売を段階的に廃止する意向を発表しており、多くの国が2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロとする目標を掲げています。英国は2035年までに、ガソリン車やディーゼル車の新たな販売を禁止することを決めています。米国政府は、2030年までに新車販売台数の半分を電気自動車にする目標を定めており、米国全土に充電スタンドを設置するために75億ドルの予算を計上しています。一方、伝統的な大手自動車メーカーは電気自動車の開発を加速させています。ゼネラルモーターズは2035年までに全車種を電動化する目標を設定しており、フォードは2030年までに自動車製造の40%を電気自動車にすることを目指すと発表しました。国際エネルギー機関(IEA)の予測によると、全ての国が目標を達成するためには、世界の電気自動車の販売台数は2030年までに2,500万台に増加する必要があり、これは市場シェアの15%に相当します(図表2参照)。