「人類への赤信号」。国連は、気候変動による人類への影響が差し迫っていることをこのように表現しました。人間の行動が引き起こした地球温暖化により、世界の平均気温は産業革命前と比べてすでに1.1℃上昇しており、2100年までには上昇幅が2.7℃以上に達する可能性があります。パリ協定の目標に従い、地球温暖化を1.5℃以内に抑えるためには、脱炭素化を推進する必要があります。S&P PACTTM指数(S&P パリ協定準拠指数及び気候変動指数)は、パリ協定に準拠し、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロとする目標に適合することを目指しています。
カーボンプライシングの導入を受け、企業は温室効果ガス排出量削減に取り組んでおり、低炭素社会への移行が加速しています。欧州連合域内排出量取引制度(EU-ETS)において炭素価格の上昇が続いており、炭素価格は1年間で126.58%も急騰しました。
地球温暖化を1.5℃以内に抑えるためには、今後数十年にわたり炭素価格が大幅に上昇する必要があると思われます(これは、目標を2℃以上とした場合よりも大きな上昇幅である)。ただし、こうした価格上昇をめぐる不透明感は非常に大きいと言えます。当然ながら、企業は炭素排出量の追加コストを吸収するか、あるいは追加コストを消費者に転嫁する必要があるため(いわゆる、炭素価格プレミアム)、炭素価格の上昇は金融リスクにつながる可能性があります。
炭素価格が上昇した際に、ユーロ圏のS&P PACT指数が財務的な頑健性を示すか、またはポートフォリオのアーニング・アット・リスクがベンチマークを下回るかどうかについて、当社はS&P Global Trucostのカーボン・アーニング・アット・リスクのデータセットを使用して検証します。Trucostは、以下の3つの炭素価格経路を策定しました。
- 国が決定する貢献(NDC)を反映した低い炭素価格
- 2℃目標を前提とする中程度の炭素価格(ただし、短期的には対応が遅れる)
- パリ協定の2℃目標に合致した高い炭素価格