コンテンツリスト

マルチアセット指数の需要を牽引する要因は?

World by Numbers: S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス株価指数による2023年8月の世界市場パフォーマンス・サマリー

マーケット分析レポート S&P 500 2023年7月

World by Numbers: S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス株価指数による2023年7月の世界市場パフォーマンス・サマリー

マーケット分析レポート S&P 500 2023年6月

マルチアセット指数の需要を牽引する要因は?

マルチアセット指数の需要を牽引する要因は?

アジアンインベスター誌とS&P ダウ・ジョーンズ・インデックス(S&P DJI)が実施した最新の世論調査によると、資産保有者や資産運用会社は、格付けや流動性の高い資産を組み入れたマルチアセット・アプローチを積極的に採用することにより、ボラティリティや不透明感に対応することを目指しています。

 

不透明な環境に適応する

マクロ経済や市場に対する逆風が強まり、地政学的リスクが高まっている中で、いくつかの共通の資産配分テーマがアジア全体の投資戦略を形成しつつあります。同時に、見通しが不透明な状況の中で、重要な検討事項に対して投資家の意見が分かれているため、ポートフォリオ計画の策定がさらに難しくなっています。

例えば、投資家が今後6ヵ月間の資産配分を決定する上で、長期的な元本の成長が重要な要因になると予想されている一方で、投資家は柔軟かつアクティブな姿勢で戦術的に資産を選択したいと考えています。

さらに、マルチアセット・エクスポージャーの構築を検討する上で、資産配分担当者によって優先順位が異なります。資産配分担当者がボラティリティを管理し、絶対リターンを達成することを目指す中で、彼らがマルチアセット戦略を選択する際の重要な検討事項は、明確な投資目的に沿った戦略を継続する能力から、実績、ベンチマークに対するパフォーマンスに至るまで幅広い範囲に及びます。

それでも、投資家が2023年の年内に安定した魅力的なリスク調整後リターンの獲得を追求する中で、世界、アジア、及び米国の投資適格債全体において格付けの高い債券を選好するというコンセンサスが存在しています。また、投資家は、オルタナティブ投資を通じて、あるいはキャッシュを通じてかを問わず、流動性を確保することも望んでいます。

これらは、アジアンインベスター誌がS&P DJIと協力して2023年5月から6月にかけてアジアの11の市場の主要な資産保有者及び資産運用会社の101名の上級幹部から収集した独自の洞察に基づくものです。回答者には、香港、台湾、オーストラリア、韓国、日本、シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、及びインドの保険会社、公的・私的年金基金、ソブリン・ウェルス・ファンド、政府機関、寄付基金、ファミリーオフィス、及び資産運用会社などが含まれます。

pdf-icon PD F 全ての記事をダウンロードする

World by Numbers: S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス株価指数による2023年8月の世界市場パフォーマンス・サマリー

(2023 年 9 月 1 日、東京=S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス)

  1. 全世界の株式市場パフォーマンス

    S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスの算出する S&P グローバル総合指数(米ドル建て、配当なし。以下、全データについて同じ)によると、2023 年 8 月の全世界の株式市場は 3.08%の下落となった。8 月は、先進国市場が 2.82%の下落、新興国市場も 5.34%の下落となった。また、先進国大型株は 2.64%の下落、先進国小型株も 3.94%の下落となった(詳細は表1参照)。

  1. 国別パフォーマンス

    8 月の国別パフォーマンス上位は、トルコ、エジプト、ハンガリー、デンマーク、ルクセンブルクの順となった。米国市場はマイナス 2.13%で 49 ヶ国中 13 番目となった(表 2 参照)。8 月の円建てでの日本市場は、プラス 0.40%であった。

  2. REIT 市場

    先進国の 8 月の REIT 市場は 3.36%の下落となった。国別のパフォーマンス上位は、アイルランド、ドイツ、日本、フランス、オーストラリアの順となった。日本の 8 月の REIT 市場は 1.64%の下落となった。米国の 8 月の REIT 市場は、3.20%の下落だった(表 3 参照)。

World by Numbers: S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス株価指数による2023年8月の世界市場パフォーマンス・サマリー: 図表 1


マーケット分析レポート S&P 500 2023年7月

Contributor Image
Howard Silverblatt

Senior Index Analyst, Product Management

S&P Dow Jones Indices

THE S&P 500 MARKET: 2023 年 7 月

個人的見解: 相場の好調持続(あるいは酔狂な楽観主義者)

7 月も株式市場の上昇は続きました。企業業績が若干引き下げられていた事前予想通りとなり、業績リセッションとは程遠い結果となったことが背景にあります。こうした状況は、パウエル議長が米連邦準備制度理事会(FRB)はもはや景気後退は見込んでいないと発言した際に用いた「顕著な成長鈍化」という表現で説明できます。しかしながら、市場関係者の間では景気後退の可能性に関して意見が割れているようです。また、FRB があと 1 回の利上げを行うかについても意見が分かれていますが、「別れの一回」があるとしても、それが最後の利上げになるとして市場が容認している模様であることは良いニュースと言えるでしょう。また、市場は 2024 年が利下げの年になると見込んでいます(期待しなければ失望することもありませんが、人々の期待が市場の取引につながります)。

7 月の取引で重要だったことは、リターンのすそ野が広がったことです。値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の差は縮小したとはいえ、引き続き値上がり銘柄数が大幅に上回ったことに変わりはありません。6 月と7 月の 2 カ月間の S&P500 指数のトータルリターンは 10.03%(6 月が6.61%、7 月が 3.21%)でした。指数上昇への貢献度トップ 10 の銘柄のリターンへの貢献度は 34.4%となっています。8 銘柄(7 社)の上昇だけで指数全体のリターンをプラスに押し上げた日々は遠い昔となっており(つまり、8 銘柄を除けば、市場のリターンはマイナスになっていたということ)。6 月 1 日以降のリターンがマイナスになるためには、331 銘柄を指数から除外しなければなりません。時価総額の大きさが指数全体のリターンに及ぼす影響が重要でないわけではありませんが(Apple、NVIDIA、そして Tesla は 6-7 月の上昇貢献度の上位銘柄であり、その割合は 19%と引き続き高く、情報技術セクターの貢献度は24.5%となっています)、騰落率がプラスとなる銘柄が増えたことは、全面的な回復への期待を醸成するのに一役買っています。もちろん、業績好調の小型株が新たに相場の流れに追いつき、大型株に多少の利食い売りが出る動きが、回復見通しに水を差すことはほとんどありませんでした。こうしたトレンドが続き、そして上昇への貢献度の高い銘柄がすでに飽和状態で、割高感が出ているとすれば(Alphabet の 90 回程度に対し、Microsoft は決算説明会で AI について本当に 175 回も言及したのでしょうか)、これらの銘柄のリターンへの貢献度は、年初来のトータルリターンに関しては今後徐々に低下していくことになるでしょう。しかし、2023 年通年で見ると、これまで貢献度の高かった銘柄が主役の座を降りない限り、年初からの 5 カ月間のこれらの銘柄の影響は大きく、リターンの貢献度が上位銘柄に集中した年となるでしょう。


World by Numbers: S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス株価指数による2023年7月の世界市場パフォーマンス・サマリー

(2023 年 8 月 1 日、東京=S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス)

  1. 全世界の株式市場パフォーマンス

    S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスの算出する S&P グローバル総合指数(米ドル建て、配当なし。以下、全データについて同じ)によると、2023 年 7 月の全世界の株式市場は 3.72%の上昇となった。7 月は、先進国市場が 3.51%の上昇、新興国市場も 5.56%の上昇となった。また、先進国大型株は 3.29%の上昇、先進国小型株も 4.86%の上昇となった(詳細は表1参照)。

  1. 国別パフォーマンス

    7 月の国別パフォーマンス上位は、トルコ、パキスタン、南アフリカ、コロンビア、ペルーの順となった。米国市場はプラス 3.51%で 49 ヶ国中 30 番目となった(表 2 参照)。7 月の円建てでの日本市場は、プラス 1.55%であった。

  2. REIT 市場

    先進国の 7 月の REIT 市場は 3.17%の上昇となった。国別のパフォーマンス上位は、スペイン、イギリス、オランダ、ベルギー、ニュージーランドの順となった。日本の 7 月の REIT 市場は2.52%の上昇となった。米国の 7 月の REIT 市場は、2.70%の上昇だった(表 3 参照)。

World by Numbers: S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス株価指数による2023年7月の世界市場パフォーマンス・サマリー: 図表 1


マーケット分析レポート S&P 500 2023年6月

Contributor Image
Howard Silverblatt

Senior Index Analyst, Product Management

S&P Dow Jones Indices

THE S&P 500 MARKET: 2023 年 6 月

個人的見解: 値上がり銘柄は再び広がりを見せたが、トップ銘柄は不動

6 月の市場は値上がり銘柄数が圧倒的に優勢となり、S&P500 指数構成銘柄のうち 454 銘柄が上昇し(155 銘柄が 10%以上上昇)、5 月の124 銘柄から大幅に増加しました。これにより、年初来では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を再び上回り、300 銘柄が年初来で上昇(116 銘柄が 20%以上上昇)しています。また、6 月は 11 セクターすべてが上昇しました。6 月の市場は全体的に押し上げられ、S&P500 指数の配当込みのトータルリターンはプラス 6.61%となりました。過去数カ月の市場は時価総額の大きい一部の銘柄が主導権を握り、全体としては値下がり銘柄数の方が多く、足を引っ張っている状況でした。一部の銘柄が主導権を握る状況は続いており、S&P500 指数の年初来のトータルリターンはプラス 16.89%となっていますが、指数上昇への貢献度でトップ44 銘柄を除くと年初来のトータルリターンはマイナスです。とはいえ、5 月時点ではトップ 44 銘柄ではなく 8 銘柄を除くとマイナスとなっていました。Apple(AAPL)と Tesla(TSLA)が 6 月も引き続きトップに君臨し、Alphabet(GOOG/L)と月後半には Salesforce.com(CRM)が、月間の騰落率に大きくマイナスに寄与しました。それでも、6 月の市場は幅広い銘柄がプラスに寄与しましたが、年初来で見ると、一部の銘柄が牽引する状況に変わりはありません。S&P500 指数は依然として超大型株の比重が高い状態にあり、上位 10 銘柄で時価総額の 30.5%を占めています(通常は 20%台前半でした)。6 月の注目点として、半導体企業の NVIDIA(NVDA)が時価総額 1 兆ドルクラブの仲間入りを果たし、Apple は上場企業として初めて時価総額が 3 兆ドルに到達し、S&P500 指数に占める割合が過去最高の 7.72%に達しました。現在、1 兆ドルクラブには他に、Microsoft(MSFT)、Alphabet、Amazon(AMZN)が名を連ねています。

新規株式公開(IPO)市場も息を吹き返しましたが、パフォーマンスはまちまちです。地中海料理チェーンの CAVA(CAVA)は IPO 価格 22ドルで上場し、初値 42 ドル、一時は 47 ドルまで上昇しましたが、現在は 40.95 ドルとなっています。韓国料理チェーンの GEN Restaurant(GENK)は IPO 価格 12 ドルで上場し、16.99 ドルで 6月を終えました。その他、メキシコで産業用不動産の開発と管理を手掛ける Vesta Real Estate(VESTA)、テキサス州で天然ガスの圧縮サービスを提供する Kodiak Gas Services(KGS)、リサイクルショップを展開する Savers Value Village(SVV)、特殊保険や再保険を手掛ける Fidelis(FIHL)などが IPO を完了しています。7 月は通常、IPO が活発な月で、最近の株価上昇を受けて今年も活況が期待されます。なお、8 月は例年 IPO 件数が少なくなります。


「処理中です」 ...