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マーケット分析レポート S&P 500 2024年6月

マーケット分析レポート S&P 500 2024年5月

マーケット分析レポート S&P 500 2024年4月

マーケット分析レポート S&P 500 2024年2月

マーケット分析レポート S&P 500 2024年1月

マーケット分析レポート S&P 500 2024年6月

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Howard Silverblatt

Senior Index Analyst, Product Management

S&P Dow Jones Indices

THE S&P 500 MARKET: 2024 年 6 月

個人的見解: 2024 年上半期の S&P500 指数のトータルリターンはプラス 15.29%を記録したが、Nvidia を除くとプラス 10.71%、マグニフィセントセブン銘柄を除くとプラス 6.27%

インデックスの動き

  • 6 月は年初来の上昇基調が持続し、S&P500 指数は 3.47%上昇(配当込みのトータルリターンはプラス 3.59%)となりました(2023 年は 24.23%上昇、トータルリターンはプラス26.29%)。終値での最高値を月内に 7 回更新しましたが(年初来では 31 回、2023 年は 0 回)、値下がり銘柄数(301 銘柄)が値上がり銘柄数(201 銘柄)を上回りました。5 月は幅広く上昇して 4.80%上昇(同プラス 4.96%)、4 月は限定的ながら幅広く下落して 4.16%下落(同マイナス 4.08%)でしたが、4 月はもはや、良い兆候とは言えませんがそれほど懸念することのない、はるか遠い記憶となっています。2024 年第 2 四半期の 3カ月間では 3.92%上昇(同プラス 4.28%)ですが、ここでも値下がり銘柄数(304 銘柄)が値上がり銘柄数(199 銘柄)を上回り、上位集中の不均衡な構造が浮き彫りになりました。2024年第 1 四半期が上位集中ではなかったとは言いませんが、値上がり銘柄数(369 銘柄)が値下がり銘柄数(134 銘柄)を大幅に上回り、全体で 10.16%上昇(同プラス 10.56%)でした。年初来でみると、S&P500 指数は 14.48%上昇(同プラス15.29%)となり、年率換算すると 31.18%上昇(同プラス33.05%)に相当します。年初来では値上がり銘柄数(301 銘柄)が値下がり銘柄数(200 銘柄)を上回っています(5 月末時点では値上がり銘柄数が 312 銘柄、値下がり銘柄数が 189 銘柄でした。6 月は 19 営業日中 12 営業日で上昇し(5 月は 22 営業日中 14 営業日で上昇)、年初来では 124 営業日中 69 営業日で上昇しています。6 月は 11 セクター中 5 セクターが上昇しました(5 月は 10 セクターが上昇)。出来高は前月比で 1%増(営業日数調整後)、前年同月比では 4%減でした。

  • S&P500 指数の時価総額は 6 月に 1 兆 5,460 億ドル増加(5 月は 2 兆 630 億ドル増加)して、45 兆 8,430 億ドルとなりました。年初来では 5 兆 8,040 億ドル増加しました。2023 年は 7 兆 9,060 億ドルの増加、2022 年は 8 兆 2,240 億ドルの減少でした。
    • ダウ・ジョーンズ工業株価平均(ダウ平均)は 6 月に最高値を更新せず、1.12%上昇して(配当込みのトータルリターンはプラス 1.23%)、39,118.86 ドルで月を終えました。5 月は 2.30%上昇して(同プラス2.58%)して、38,686.32 ドルで月を終えました。2024 年第 2 四半期の 3カ月間の騰落率は 1.73%下落(同マイナス 1.27%)、年初来では 3.79%上昇(同プラス 4.79%)、過去 1 年では 13.67%上昇(同プラス 16.02%)となっています。2023 年は 13.70%の上昇(同プラス 16.18%)、2022 年は8.78%の下落(同マイナス 6.86%)でした。
  • 6 月の日中ボラティリティ(日中の値幅を安値で除して算出)は、0.7684%と 5 月の 0.7687%からわずかに低下し、年初来では 0.83%となっています。なお、2023年通年は 1.04%、2022 年は 1.83%、2021 年は 0.97%、2020 年は 1.51%でした(長期平均は 1.42%)。
  • 6 月の出来高は、5 月の前月比 4%増加の後に、同 1%増加し(営業日数調整後)、前年同月比では 4%減少となりました。2024 年 6 月までの 12 カ月間では前年同期比 6%減少しています。2023 年通年では前年比 1%減で、2022 年通年では同 6%増でした。
  • 6 月は 1%以上変動した日数は 19 営業日中 1 日(上昇が 1 日、下落はなし)で、2%以上変動した営業日はありませんでした。5 月は 1%以上変動した日数は 22 営業日中 3 日(上昇が 3 日、下落はなし)でした。年初来では、1%以上変動した日数は 21 日(上昇が 14 日、下落が 7 日)で、2%以上変動した日数は 1 日(上昇)でした。2023 年通年は、1%以上変動した日数が 250 営業日中 63 日(上昇が 37日、下落が 26 日)、2%以上変動した日数が 2 日(上昇が 1 日、下落が 1 日)でした。6 月は 19 営業日中 4 日で日中の変動率が 1%以上となり、2%以上変動した日はありませんでした。対して 5 月は 1%以上の変動が 22 営業日中 4 日で、2%以上変動した日はありませんでした。年初来では、33 日で日中の変動率が 1%以上となり、2%以上変動した日数は 2 日ありました。2023 年通年では 1%以上の変動が113 日、2%以上の変動が 13 日で、3%以上の変動はありませんでした(直近で3%以上の変動があったのは 2022 年 11 月 30 日)。2022 年は 1%以上の変動が218 日、2%以上の変動が 89 日、3%以上の変動が 20 日でした(4%以上の変動が4 日、5%以上の変動が 1 日)。

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マーケット分析レポート S&P 500 2024年5月

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Howard Silverblatt

Senior Index Analyst, Product Management

S&P Dow Jones Indices

THE S&P 500 MARKET: 2024 年 5 月

個人的見解: 「自力で立ち上がり、再びレースに挑んでいく」、それが市場というものだ…

今回は最高値更新までに本当に長い時間がかかりました。実際には 48日(営業日ベースでは 33 日)だったのですが、もっと長くかかったように思われます。S&P500 指数は 4 月の値下がり分(4.16%下落)を取り戻し、今年に入って 23 回目となる終値での最高値を更新しました(5 月 15 日の水曜日の 5,308.15。前回の最高値更新は 3 月 28 日の5,254.35)。株式市場は堅調な上昇基調を辿りました。週次騰落率は 5週連続でプラスとなり(累計上昇率 6.79%)、5,300 台を突破(5 月16 日の日中高値は 5,325.49)して、再び終値での最高値を更新しました(5 月 21 日に年初来で 24 回目の最高値となる 5,321.41 を記録)。しかしながら、5 月の最終週になると小幅反落しました(0.51%下落)。(古き良き)利食い売りが出たようです(5 月最終営業日の午後には買いが戻り、前日比 0.84%の下落から同 0.80%の上昇まで回復して月の取引を終えました)。S&P500 指数は 5 月に 4.80%上昇して5,277.51 で月を終えました(5 月中に騰落率が 5.67%まで上昇する場面もありました)。市場は 4 月の 4.16%の下落分を優に取り戻し、年初来の上昇率は 10.64%となりました(5 月の取引最終日の終値は終値での最高値から 0.83%下落)。ダウ・ジョーンズ工業株平均(ダウ平均)も 5 月 15 日に 39,908.00 ドル、5 月 17 日に 40,003.59 ドルと、5月中に 2 回、最高値を更新しました(終値で 40,000 ドルを超えたのは17 日だけでした。なお、16 日には日中高値で 40,051.05 ドルをつけました)。5 月は 2.30%上昇の 38,686.32 ドルで取引を終え、年初来の騰落率は 2.64%の上昇となりました。

  • インデックスの動き
    • 5 月は再び常勝街道に回帰しました(4.80%上昇、配当込みのトータルリターンはプラス 4.96%)。限定的ながら広範囲にわたって下落した 4 月の値下がり分(4.16%下落、同マイナス 4.08%)を優に取り戻しただけではなく、大幅高となった 2024 年 1-3 月期のリターン(10.16%上昇、同プラス 10.56%)から上昇率をさらに拡大させ、年初来の上昇率を 10.64%(同プラス 11.30%)としました。これを年率換算すると 27.11%の上昇(同プラス 28.90%)に相当します。5 月は 22 営業日中 14 営業日で上昇し(4 月は 22 営業日中 9 営業日。年初来では 105 営業日中56 営業日)、11 セクター中 10 セクターが上昇しました(4 月は 1 セクターのみが上昇しました)。5 月は再び値上がり銘柄数が増加して、値下がり銘柄数を大きく上回りました(値上がり銘柄数は 327 銘柄、値下がり銘柄数は 176 銘柄。これに対して 4 月は値上がり銘柄数が 118 銘柄、値下がり銘柄数が 385 銘柄)。出来高は前月比で 4%増、前年同月比では 4%減でした。
    • S&P500 指数の時価総額は 5 月に 2 兆 630 億ドル増加(4 月は 1 億 8,430 億ドル減少)して、44 兆 2,970 億ドルとなりました。年初来では 4 兆 2,580 億ドル増加しました。2023 年は 7 兆 9,060 億ドルの増加、2022 年は 8 兆 2,240 億ドルの減少でした。
      • ダウ平均も 5 月に 2 回最高値を更新し、2.30%上昇して(配当込みのトータルリターンはプラス 2.58%)、38,686.32 ドルで月を終えました。4 月は5.00%下落して(同マイナス 4.92%)して、37,815.92 ドルで月を終えました。年初来では 2.64%の上昇(同プラス 3.52%)、過去 1 年のリターンは17.56%の上昇(同プラス 19.97%)、2023 年は 13.70%の上昇 (同プラス16.18%)、2022 年は 8.78%の下落(同マイナス 6.86%)となりました。
    • 5 月の日中ボラティリティ(日中の値幅を安値で除して算出)は、0.77%と 4 月の1.13%から大幅に低下し、年初来では 0.84%となっています。なお、2023 年通年は 1.04%、2022 年は 1.83%、2021 年は 0.97%、2020 年は 1.51%でした(長期平均は 1.42%)
    • 5 月の出来高は 4 月の前月比 14%減少の後に、同 4%増加し(営業日数調整後)、前年同月比では 4%減少しました。2024 年 5 月までの 12 カ月間では前年同期比5%増加しています。2023 年通年では前年比 1%減で、2022 年通年では同 6%増でした。

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マーケット分析レポート S&P 500 2024年4月

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Howard Silverblatt

Senior Index Analyst, Product Management

S&P Dow Jones Indices

THE S&P 500 MARKET: 2024 年 4 月

個人的見解: これまでの上昇のツケが回り、値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を 3 対 1 で上回ったものの、下落率は 4.16%で打撃は限定的

4 月の S&P500 指数の下落(4.16%下落。5,000 台を一時割り込んだものの大幅下落は免れました)が 2024 年第 1 四半期の上昇分(10.16%)のツケを払うものだったとすれば、(どうか)「また同じものを」お願いします。最近の下落が続いて揺り戻し(5%)あるいは調整(10%)になる展開に備えていない訳ではありませんが、現在の水準は防衛可能なサポートレベルの領域にあるとみられます(VIX 恐怖指数トレードが浮上しては消え、そして再び浮上する可能性があるとは言え)。米国経済にはワシントンの友人たちによって大量の資金が直接流入しています(先頃可決されたイスラエル/台湾/ウクライナへの米国の緊急支援計画を通じて最低 340 億ドル、CHIPS 法による米製造業向け補助金・融資を通じて 390 億ドル)。一方、雇用(および給与)は高水準に留まっており、現在実際の利益(およびキャッシュフロー)は好調です(ただしガイダンスはそれほど良好ではありません ――2024 年第 2、第 3、第 4 四半期で最高益が見込まれているものの)。そして不快な「代名詞」ダンスにおいて「U.S.」は(ジェンダーの観点から)最も心地良い「代名詞」と見なされています。

ガイダンス関連のニュースには否定的な見方もありましたが、実際の前期比の増益率は 1%の予想を上回り(予想を上回った企業の割合は76.8%)、ウィスパーナンバー(アナリストの非公式の業績予想)の2.5%も上回っています(現時点で 2.7%、前年同期比では 5.4%増)。売上高は過去最高となった 2023 年第 4 四半期の水準(年末商戦に伴う典型的な動きの結果です)を 4.1%下回ったものの、前年同期比では4.1%増加しました。

経済データはあらゆる可能性を示唆する結果となり(リセッション、スタグフレーションへの新たな懸念、成長)、ボラティリティは高まったものの、最終的にトレードを左右したのは企業業績とファンダメンタルズ(ならびにデータから導かれた予測)でした。

4 月の日中ボラティリティ(日中の値幅を安値で除して算出)は平均 1.13%と 3 月の 0.73%から上昇しました。同様に 10 年債利回り(4.68%。3 月は 4.21%、2023 年末は 3.88%)と金(1 トロイオンス=2,303 ドル。3 月は 2,241 ドル、2023 年末は 2,074 ドル)も上昇しましたが、市場は4.16%の下落と、4.87%下落した 2023 年 9 月(8 月と 10 月を合わせた 3 カ月間で 8.61%下落)以来の大幅下落となりました。11 セクター中、上昇したのは 1 セクター(公益事業の+1.59%)のみで(最も大幅に下落したのは不動産で-8.62%)、値下がり銘柄数(385 銘柄)が値上がり銘柄数(118 銘柄)を上回りました(全 11 セクターが上昇した 3 月には、値上がり銘柄数が 402 銘柄で、値下がり銘柄数の 100 銘柄を上回っていました)。

年初来では、上昇率は 5.57%となり(11 セクター中 10 セクターが上昇し、不動産が 9.86%下落)、値下がり銘柄数が増えたものの、引き続き値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を上回っています(値上がり銘柄数が 302 銘柄、値下がり銘柄数が 199 銘柄。これに対して 3 月時点では年初来で値上がり銘柄数が 369 銘柄、値下がり銘柄数が 134 銘柄)。マグニフィセントセブン銘柄の存在感は依然として大きく、株式リターンの 51%に寄与しましたが(年初来で 11.5%下落したApple[AAPL]と同 26.2%下落した Tesla[TSLA]を含む)、S&P500 指数の年初来の上昇率の 41%は Nvidia(NVDA、年初来 74.5%上昇)によるものです。また「マグニフィセント(素晴らしい)」ではありませんが(空売りしていない限り)、Boeing(BA、多くの投資家が超長期的な買い銘柄と見なす銘柄)は同指数で 3 番目にパフォーマンスが悪く、年初来で 35.6%下落しました(ああ、何たることでしょう)。

5 月は、米連邦公開市場委員会(FOMC)で幕を開け(4 月 30 日火曜日から 2 日間開催)、5 月 1日水曜日の午後 2 時の声明文発表では金利が据え置かれ、2 時 30 分に始まるパウエル議長の記者会見では、辛抱強く待つか行動するかはデータ次第との見解が示されると予想されます(つまり「どちらもあり」ということです)。注目は、FRB の声明文発表と議長の会見に先立ち午前中に公表される、ADP 全米雇用統計、PMI と ISM の製造業景気指数(いずれも取引開始前)、そして建設支出と JOLTS(求人労働異動調査、午前 10 時)です。現在市場では、利下げは 1 回か(9 月の確率が最も高く 45%、次いで 12 月が 30%)、年内なしかで議論が分かれています(昔々、具体的には 4 カ月前のことですが、利下げは 2024 年 3 月に始まり、年内 6 回実施されると予想されていました)。その後、小売業の決算発表に関心が移るとともに、消費者の現在、さらに今後の動向についてあれこれ解釈がなされるでしょうが、いつもの経済データ(雇用統計、消費者物価指数[CPI]、生産者物価指数[PPI]、個人消費支出[PCE]物価指数等々)によって市場(および FRB)の全体的なトーンは決まるでしょう。それからもちろん、中東やウクライナの情勢、政治、大学キャンパスでの抗議行動、政策金利を「より高くより長く」維持する方針や財務省による短期/長期の借入れ圧力を通じた債務維持コスト(債務水準は言うまでもなく)等の問題もあります。つまり 5月も変動の激しい 1 カ月になるだろう、ということです(ちなみに 5 月 17 日には私の S&P での勤務が 48 年目に突入します ―― その日まで首がつながっていればの話ですが)。

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マーケット分析レポート S&P 500 2024年2月

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Howard Silverblatt

Senior Index Analyst, Product Management

S&P Dow Jones Indices

THE S&P 500 MARKET: 2024 年 2 月

個人的見解: 根拠はあるのかないのか、熱狂の時代が再来

インフレも、フェデラル・ファンド(FF)金利も、金利コストも、消費者や政府の債務をめぐる悲観論も(あるいは政府機関の閉鎖も ――私たちは言葉にしている以上にこの問題を懸念しているようです)、約束されていた最高値更新の素早い実現を食い止めることは出来ませんでした。S&P500 指数は 2 月に終値での最高値を 8 回更新しました(そのうちの1回が月末の 5,096.27、日中の最高値は 5,111.06)。前月 1月には終値での最高値を 6 回更新していました(またダウ・ジョーンズ工業株価平均 [ダウ平均。2024 年 2 月 26 日に Amazon を構成銘柄に採用し、代わりに Walgreens を除外] も終値での最高値を更新しました ―― 2 月、1 月、昨年 12 月それぞれ 7 回ずつ ―― 株価チャートの分析が必要ならいつでもお申し付け下さい)。S&P500 指数は 2 月に初めて 5,000 の大台を突破し、この水準を上回って推移し、一時 5,100 を超えましたが、終値での 5,100 超えは先送りとなり(5,096.27 で月を終え、あと一歩届きませんでした)、月間では 5.17%上昇と、4 カ月連続での上昇を記録しました(3 カ月累計で 8.61%下落した後、11 月は8.92%、12 月は 4.42%、1 月は 1.59%の上昇を記録[累計 21.52%上昇])。

セクター別では、2 月は 11 セクターすべてが上昇しました。これに対して 1 月は 5 セクター、12 月は 10 セクターが上昇していました(2023 年通年では 11 セクター中 8 セクターが上昇)。2 月は値上がり銘柄数(351 銘柄)が値下がり銘柄数(151 銘柄)を上回ったため(1月は値上がり銘柄数が 224 銘柄、値下がり銘柄数が 279 銘柄)、年初来でも値上がり銘柄数(302 銘柄)が値下がり銘柄数(201 銘柄)を上回りました(2023 年通年では値上がり銘柄数が 322 銘柄、値下がり銘柄数が 179 銘柄と、値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を上回り、値下がり銘柄数[363 銘柄]が値上がり銘柄数[139 銘柄]を上回っていた 2022年から一転しました)。

マグニフィセントセブン銘柄は引き続き好調ですが、やや一人勝ちの様相を呈してきました。Nvidia(NVDA)は 2 月に 28.6%上昇し(年初来で 59.8%上昇、2022 年終値から 441%上昇)、2月の S&P500 指数のトータルリターンに占める割合は 20%、年初来では 26%となりました。Nvidia の時価総額は一時 2 兆ドルを超え、Microsoft(MSFT、時価総額は 3 兆 700 億ドル)とApple(AAPL、時価総額は 2 兆 6,400 億ドル。Nvidia は 1 兆 9,500 億ドル)とともに時価総額上位 3 大銘柄の 1 つとなりました(S&P500 指数に占める割合は 17.9%。さらに Alphabet の 2 銘柄の合計時価総額は 1 兆 5,200 億ドルで指数の 3.5%を占めます)。よって大きな問題は、この好調がいつまで続くのかです。その答えは、大幅増収増益となった同社の決算発表(結果として発表の翌日に、同社の時価総額は一日としては過去最高の 2,730 億ドル増を記録)前の 2 日間にあるかもしれません。一部の投資家は決算発表前の 2 日間で利益確定の売りを出したものの(2 日間で 7%下落)、結局買い戻さざるを得ませんでした。目覚ましい成長が続くと市場が考えている限り株価上昇は続くため、勝つためにはこの流れに乗る必要があるからです(質問の答えになっていませんが)。


マーケット分析レポート S&P 500 2024年1月

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Howard Silverblatt

Senior Index Analyst, Product Management

S&P Dow Jones Indices

THE S&P 500 MARKET: 2024 年 1 月

個人的見解: 「1 月の相場がその年の相場を決める」- S&P500 指数は 1 月に 4,800、次いで 4,900 の大台を突破して史上最高値を更新

株式市場は昨年 11 月(8.92%上昇)と 12 月(4.42%上昇)の流れを引き継ぎ、1 月も 3 カ月連続となる上昇を記録(1.59%上昇)し、過去3 カ月では 15.54%の大幅上昇となりました。2024 年 1 月の S&P500指数は 4,800、 そして 4,900 の大台を連続して突破し、6 回にわたり最高値を更新しました (終値での最高値は 4927.93、日中の最高値は4,931.09)。経済も引き続き力強さを示しています(第 4 四半期 GDPは前期比年率 3.3%増、2024 年 12 月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年同月比 2.6%上昇、失業率は低水準で、賃金・企業利益・売上高は増加)。株式市場ではこれまでは 3 月の利下げ観測が広がっていましたが、好調な経済活動を受けて、FRB が初回利下げを 2024 年 5 月もしくは 6 月に先送りするとの見方(FRB も政策会合で確認)を容易に受け入れました。

セクター別では、1 月は 11 セクターのうち 5 セクターが上昇しました。2023 年 12 月は 10 セクターが上昇していました(2023 年通年では 11 セクター中 8 セクターが上昇)。1 月は値上がり銘柄数が減少し、値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を上回り、値上がり銘柄数が 224銘柄 (10%以上上昇した銘柄は 24 銘柄)となったのに対し、値下がり銘柄数は 279 銘柄となりました(10%以上下落した銘柄数は 39 銘柄)。2023 年 12 月は値上がり銘柄数が 416 銘柄となったのに対し、値下がり銘柄数 86 銘柄でした(2023 年通年では 322 銘柄が上昇し、179 銘柄が下落しました。2022 年は全く対照的に、値上がり銘柄数が139 銘柄、値下がり銘柄数が 363 銘柄でした)。

実際のところ、1 月相場に関してはほとんどの市場関係者の見通しは外れました。ただし、外れたのは相場の方向性ではなく個別銘柄の動向です。つまり、マグニフィセントセブン銘柄は下落すると予想されていましたが、実際には上昇し続け(1 月の平均上昇率は 1.80%、24.63%下落した Tesla を除いた上昇率は 5.58%)、1 月の S&P500 指数のリターン(1.59%)の 45%を占めました。なお、この割合は 2023 年通年では 62%であり、1 月の貢献度は 2023 年には及びませんでしたが、Tesla を除いた 6 銘柄では、マグニフィセント銘柄は 1 月の S&P500 指数のリターンの 71%を占めました。また、企業業績も株式市場を押し上げました。半数近い企業が業績発表を終えましたが、予想を上回る内容となり(特別項目を除いた場合)、第 4 四半期の売上高は前年同期比 4.6%増の 4 兆ドルと過去最高を更新する見通しで、2023 年通年でも同様に過去最高の 15.6兆ドルが見込まれます。このように記録的な売上高が実現した背景には、消費者による支出とクレジット払いが続いていることがあります (クレジットカードや自動車ローンの利用に対する警告が増えていることが確認されていますが)。同様に政府が半導体産業の支援法である CHIPs 法、インフレ抑制法(IRA)、インフラ投資法に基づいた支出を拡大していることも背景にあり、政府によるさらなる支出が見込まれます。2024 年中に 3,000 億ドル規模の資金を投入する経済対策関連法案の成立が見込まれており、この中には研究開発費の即時控除の適用延長や資本設備に対する課税の全額控除といった企業支援策が含まれているようです。


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