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名称のみの変更:S&P 500 ESG指数からS&P 500スコアリング&スクリーニング指数へ

S&P 500を構成するセクターのパフォーマンス分析

S&P 500配当貴族指数のリバランス:Erie Indemnity Company、Eversource Energy、およびFactSet Research Systemsを構成銘柄に新たに採用

S&P 500上位20セレクト指数の概要

S&P 500上位20セレクト指数:超大型株のパフォーマンスを詳細に検証

名称のみの変更:S&P 500 ESG指数からS&P 500スコアリング&スクリーニング指数へ

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María Sánchez

Director, Sustainability Index Product Management, U.S. Equity Indices

S&P Dow Jones Indices

過去10年間においてサステナブル投資に対する関心が高まる一方で、グリーンウォッシングのリスクに対する懸念も高まっています(グリーンウォッシングとは、環境に配慮しているように見せかける行為)。S&P DJIは、欧州証券市場監督局(ESMA)が新たに公表したファンド名称に関するガイドラインに基づき、S&P 500® ESG指数の名称をS&P 500スコアリング&スクリーニング指数に変更することを発表しました。なお、このESMAのガイドラインは、ESGや持続可能性に関連する用語をファンドの名称に使用する際の指針を定めたものであり、S&P DJIに直接適用されるものではありません。

S&P 500スコアリング&スクリーニング指数:同じメソドロジーを使用し、名称のみを変更

S&P 500スコアリング&スクリーニング指数の目標はこれまでと変わりません。この指数は、特定のサステナビリティ基準を満たす証券のパフォーマンスに連動する一方で、S&P 500と同様のセクター・ウェイトを維持するように設計されています。

指数の名称は変更されましたが、指数のメソドロジーに変更はありません。構成銘柄の選択基準や除外基準はこれまで通りであり、ベンチマークとしての一貫性が維持されています。

  • この指数では様々な適格性基準を設けています。具体的には、国連グローバル・コンパクト(UNGC)の原則や、S&Pの利害関係者分析(MSA)、さらには企業活動などに基づくスクリーニングを行った上で、S&P グローバルESGスコアを用いて構成銘柄の選択と除外を行います。この指数では、S&P 500の各産業グループ内で時価総額の75%をカバーすることを目標に、S&P グローバルESGスコアの高い順に企業を選択し、これによってS&P 500と同様のセクター・ウェイトを維持することを目指します。

名称のみの変更:S&P 500 ESG指数からS&P 500スコアリング&スクリーニング指数へ: 図表 1

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S&P 500を構成するセクターのパフォーマンス分析

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Joseph Nelesen, Ph.D.

Head of Specialists, Index Investment Strategy

S&P Dow Jones Indices

  • この記事に含まれる指数 S&P 500

多様な資産クラスや地域をカバーする数多くの指数が開発されていますが、投資判断において各セクターの動向を把握することは引き続き重要な要素となっています。世界中のテレビ局のスタジオから、各国証券取引所のトレーディング・フロアに至るまで、世界産業分類基準(GICS®)の11セクターは広く認知され、議論の対象となっています。このことは、市場動向や経済の方向性を示す指標として、GICSセクターの有用性が広く認められていることを示しています。S&P 500®は、米国に本社を置きながらもグローバルに事業展開する企業で構成されており、GICSセクターは各業種の動向を分析・把握する上で重要な役割を果たしています。

昨年は米大統領選挙の年であったことから、11月と12月には各セクター間のパフォーマンス格差が大きく拡大しました。今年1月に入っても、各セクターの動向を見極め、投資配分を戦略的に調整することが重要な局面となりました。図表1では、S&P 500と、S&P 500を構成する各GICSセクターの1月のパフォーマンスを示しています。1月には、セクター間のスプレッド(最もパフォーマンスの高いセクターと最もパフォーマンスの低いセクターのパフォーマンス格差)が12%に達し、昨年11月から3ヵ月連続で2桁台を記録しました。情報技術セクターだけがマイナスとなり、2.9%下落しました。この下落の主な要因は、生成AI業界に新たな企業が参入し、競争環境が一変したことによるものであり、たった1日で情報技術セクターの2銘柄の時価総額が約8,000億ドルも失われる事態となりました。

S&P 500を構成するセクターのパフォーマンス分析: 図表 1

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S&P 500配当貴族指数のリバランス:Erie Indemnity Company、Eversource Energy、およびFactSet Research Systemsを構成銘柄に新たに採用

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George Valantasis

Associate Director, Factors and Dividends

S&P Dow Jones Indices

S&P 500® 配当貴族®指数は、S&P 500構成銘柄のうち、過去25年間連続して毎年増配している優良大型株のパフォーマンスに連動するように設計されています。この指数は年次の指数再構築を完了し、これは2025年1月31日の取引終了時に有効となりました。Erie Indemnity Company、Eversource Energy、およびFactSet Research Systemsが構成銘柄に新たに採用され、これによりS&P 500配当貴族指数の構成銘柄数は69銘柄となりました。

新規採用銘柄のご紹介

Erie Indemnity Company

Erie Indemnity Companyは、自動車保険、住宅保険、企業向け保険、および生命保険などを提供する損害保険会社です。同社のウェブサイトによると、Erie InsuranceはH.O. Hirt氏とO.G. Crawford氏によって1925年4月にペンシルバニア州エリーで設立されました。

2024年9月30日時点の最新の四半期決算発表によると、Erie Indemnityの2024年7~9月期純利益は1億5,980万ドルとなり、前年同期(2023年7~9月期)の1億3,100万ドルから22.0%増加しました。

Eversource Energy

Eversourceのウェブサイトによると、同社はコネチカット州ハートフォードとマサチューセッツ州ボストンに本社を置くエネルギー会社であり、同社の歴史は19世紀半ばにまで遡ります。同社は現在、米北東部のニューイングランド地域で440万人の顧客にサービスを提供しています。

2025年1月31日現在、Eversourceの配当利回りは4.96%であり、これはS&P 500配当貴族指数の配当利回りである2.39%の2倍以上となっています。

FactSet Research Systems

FactSet Research Systemsは金融データおよびソフトウェア会社であり、Howard Wille氏とChuck Snyder氏によって1978年に設立されました。同社のウェブサイト3によると、同社はコネチカット州ノーウォークに本社を置き、世界20ヵ国に37のオフィスを展開しています。

2024年11月30日時点の最新の四半期決算発表によると、同社は非常に好調な業績を達成しており、売上総利益率は54.5%、自己資本利益率は29.2%、投下資本利益率は15.6%となっています。

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S&P 500上位20セレクト指数の概要

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Fei Wang

Senior Analyst, U.S. Equity Indices

S&P Dow Jones Indices

S&P 500®は、 米国大型株の値動きを示す代表的な株価指数です。S&P 500の500社の中で、時価総額上位の銘柄はここ数年においてアウトパフォームしていることから、大きな注目を浴びています。S&P 500の中で時価総額が特に大きい超大型株に対する関心が高まっているため、S&P DJIは最近、S&P 500上位20セレクト指数シリーズの算出を開始しました。

S&P 500上位20セレクト指数シリーズは現在、3つのヘッドライン指数で構成されています (S&P 500上位20セレクト指数S&P 500上位20セレクト35/20キャップド指数、及び S&P 500上位20セレクト・アンキャップド指数)。

これらの指数は、S&P 500の中で時価総額が大きい上位20社のパフォーマンスを測定します。各指数はそれぞれ異なるキャッピング・メカニズムを採用しており、様々な分散要件を念頭に置いて設計されています。各指数は直近の市場動向を反映するために、四半期ごとに再構成とリバランスを行います 。

S&P 500上位20セレクト指数の概要: 図表 1

時価総額上位20社を選んで指数を構築する理由

S&P 500は、大型株のベンチマークとしての役割を果たしている一方で、S&P 500上位20セレクト指数シリーズは、S&P 500の中で時価総額が大きい上位4%(20社)の企業に注目します。S&P 500上位20セレクト指数シリーズは、過去5年間(2022年を除く)や、長期の投資期間においてS&P 500をアウトパフォームしています(図表2参照)。

S&P 500上位20セレクト指数の概要: 図表 2

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S&P 500上位20セレクト指数:超大型株のパフォーマンスを詳細に検証

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Fei Wang

Senior Analyst, U.S. Equity Indices

S&P Dow Jones Indices

このブログ・シリーズのパート1では、S&P 500上位20セレクト指数の構築方法や、株式市場における重要性などについて紹介しました。今回のパート2では、この指数の過去のパフォーマンスや、他の類似指数に対する相対パフォーマンスについて詳しく掘り下げていきます。

S&P 500上位20セレクト指数シリーズの3つのヘッドライン指数はこれまで、キャッピング方式の違いにもかかわらず、同様の累積リターンを示してきました。これは、指数のキャッピング基準(上限)に抵触するような超大型株が非常に少なかったためです。これら3つの指数は2008年の世界金融危機後の10年余りにおいて S&P 500 をアンダーパフォームしたものの、コロナ禍後にはアウトパフォームしており、これは情報技術セクターをオーバーウェイトとしていたことによるものと言えます(図表1参照)。

S&P 500上位20セレクト指数:超大型株のパフォーマンスを詳細に検証: 図表 1

図表2は、為替の影響を考慮したパフォーマンスを示しています。過去10年間において、S&P 500上位20セレクト35/20キャップド指数(英ポンド)のパフォーマンスを牽引した要因の1つは、ブレグジット(英国の欧州連合離脱)後に対米ドルで英ポンド安が進んだことでした。同様に、S&P 500上位20セレクト指数(TTM)(日本円)は2022年末にパフォーマンスの改善が見られました。これは日米の金利差拡大により、日本円に下落圧力がかかったことを反映している可能性があります。

S&P 500上位20セレクト指数:超大型株のパフォーマンスを詳細に検証: 図表 2

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