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自動車の認証不正問題について 原因、対象車種〜今後の見通しを解説

日本の自動車メーカーの不正問題 無料ダウンロード

本記事の内容に加えて、各社の不正詳細やそれによる影響を解説しています。

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「自動車の認証不正について知りたい」「認証不正の原因は?」と疑問に思う方は多いでしょう。メーカーの認証不正は日本の自動車業界に衝撃を与え、現在も調査や対応が続いています。

この記事では、モデル認証不正の概要と影響について、代表メーカー4社それぞれで概要を解説したうえで、対象車種の一覧も掲載しています。

最後の章では今後の見通しも紹介しているので、将来の業界予測に役立ててください。

モデル認証不正の内容と影響

モデル認証不正の概要は、次のとおりです。

【概要】

2023年12月、トヨタの小型車の子会社であるダイハツにおいて、安全性試験に関する不正が発覚しました。

これを発端として、その他の自動車メーカー、トヨタ、マツダ、ホンダ、スズキなども車種の一部で認証申請で不正を行っていたことを発表。

その後、2024年1月26日に国土交通省(MLIT)の指示により調査が行われ、不正に該当する機種の出荷命令が下されるに至りました。

上記一連の流れによって自動車業界全体に懸念の波がもたらされています。

【影響】

認証不正という不適切な行為の報道は、日本の自動車業界全体に大きな影響を与えていることは明らかです。

具体的に考えられる影響は、次のとおりです。

  • 業界全体への評判やイメージの悪化
  • 消費者の信頼の低下
  • 自動車の販売および生産台数の低下
  • 一部モデルの販売停止
  • 内容調査や罰金への対応

今後は各社とも影響への対処が求められます。

代表4社における認証不正と対象車種

ここでは認証不正と対象車種に関して、トヨタ、ホンダ、マツダ、スズキの各社で紹介します。

トヨタ

5月31日に出された国土交通省の報告によると、トヨタでは7つのモデル(2014年に製造が中止されたモデルを含む)が政府の基準を逸脱した方法でテストされていたことが明らかになりました。

問題として発覚したものは、次のとおりです。

問題となった点

対象車種

歩行者・乗員保護試験のデータ不備

● カローラフィールダー/アクシオ

● ヤリスクロス

衝突試験等の試験方法の誤り

● クラウン

● アイシス

● シエンタ

● RX

なおトヨタ社内での徹底的な検証の結果、対象となる車両はすでに生産終了している4車種(クラウン、アイシス、シエンタ、RX)を含め、法規に定められている性能に問題が無いことを確認したとしています。

したがって、該当車両の使用を中止する必要はありません。

しかし今回の調査結果を踏まえ、下記の3機種について日本国内での出荷・販売を一時停止すると決定しました。

  • カローラフィールダー
  • カローラアク シオ
  • ヤリスクロス

トヨタでは、引き続き調査が行われています。

ホンダ

ホンダでは、試験条件からの逸脱や、実際の測定値と試験結果を含むデータとの間の不一致などの不正行為があったことを認めています。

不正が発生した試験は、次のとおりです。

  • 過去に販売された四輪車の型式承認申請に必要な騒音試験
  • 原動機車載出力試験 (ガソリン機関)
  • 車載エンジン出力試験

対象のモデルは、下記の通りです。

  • フィット
  • CR-Z
  • アコード/アコードハイブリッド
  • ステップワゴン
  • CR-V
  • フリード
  • N-Box
  • N-One
  • オデッセイ
  • ヴェゼル
  • ジェイド

なお現在販売中または今後販売予定の四輪車において、上記のような認証試験の不正行為は確認できていないと発表されています。

マツダ

マツダでは2014年1月〜2024年1月までに実施された、型式指定申請に関わる2,403件の試験すべてを精査しました。

5月30日に厚生労働省へ行った報告によると、2つのカテゴリーにまたがる5つの試験で不一致が検出され、これにより製造150,878台、販売149,313台への影響が出るとしています。

次の見出しからマツダにおける不正の概要について解説します。

衝突試験における試験車両の不正

マツダは生産終了した3車種の衝突試験で、試験車両に不正があったと認めています。

前面衝突時の乗員保護に対する認証試験では、衝突を検出するオンボードセンサの代わりに、時限式エアバッグアクティベーションのための外部装置が使用されていました。

対象車種は下記の通りです。

  • アテンザ
  • アクセラ
  • Mazda6

なお、販売終了後もマツダ社内で技術検証と再試験を実施した結果、上記の車両が面衝突時の乗員保護に関わる法的基準を満たしていると発表しています。

したがって、対象車両を使用する安全上の懸念はありません。

試験中にエンジン制御ソフトを変更

マツダでは、現在生産中の2車種のテスト中にエンジン制御ソフトを変更したことを認めています。

ガソリンエンジンの車載エンジン出力認証試験では、量産車と同一のエンジン制御ソフトウェアを使用すべきであったにもかかわらず、点火時期調整機能を部分的に停止したソフトウェアを使用していました。

対象車種は下記の通りです。

  • ロードスターRF(1.5Lガソリンエンジンを搭載)
  • Mazda2

なお、対象モデルは5月30日から生産が中止されています。

スズキ

スズキでは、2014年の詐欺事件が発覚しました。

ブレーキに関わるフェード試験において、実際の試験で測定された距離を意図的に短く変更して報告していました。

社内認証試験を行った際、ブレーキ圧が基準値を大幅に下回り停止距離が法定基準に達していないにもかかわらず、再試験などが実施されませんでした。

試験報告書提出の時間的制約が要因となり、ブレーキが必要な値に近いと仮定した値について、停止距離を調整してもよいと判断し実測値を変更したと考えられています。

対象車種は、2014年12月から2017年12月まで量産された「アルト」(ABS 無しカーゴ仕様)です。

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今後の見通しと認証不正がもたらすもの

この章では、今後の見通しと認証不正がもたらすものについて解説します。

今後の見通し(トヨタ)

今後の見通しとして、トヨタは子会社のトヨタ自動車東日本が管理する2つの生産ラインの操業を停止する予定であるとしました(日経アジアより)。

これにより1,000 社以上の部品サプライヤーが影響を受ける可能性があり、操業停止による損失については、トヨタが個別に各社と補償交渉を行う予定であるとしています。

また6月4日、国土交通省は愛知県のトヨタ自動車株式会社の本社に立ち入り検査を実施しました。

加えて、トヨタ自動車はダイハツの不祥事を受け、新型車開発スケジュールの見直し計画の発表も行いました。

日刊自動車新聞の報道によると、4月から9月にかけて進行中のすべての開発計画を精査し、必要に応じて負荷の大きい開発計画を延期または中止する可能性があるとしています(日本:2024年3月5日:トヨタ、新型車の開発スケジュールを見直す-報道参照)。

認証不正がもたらすもの

モデル認証に関わる一連の不正行為は、現在の規制の枠組みと試験手順の妥当性を見直すきっかけとなる可能性があります。

不正行為の発覚によって、自動車業界全体では認証プロセスの再評価、より厳格な監視、認証試験の透明性の向上が一層求められるようになりました。

トヨタをはじめとする日本の自動車メーカーによる不祥事の再発を防ぐため、今後どのような改革がなされるかが大きなポイントです。

まとめ:認証不正の影響と今後の改革

ダイハツの安全性試験における不正に端を発した一連の不正行為の発覚は、自動車業界全体に多大な影響を与えています。

トヨタ、ホンダ、マツダ、スズキの各社は不正を認め、再試験の実施や販売の中止、車両生産の計画の見直しなど各種対応を行っています。

再テストの結果、安全性に問題がないと確認されている場合もありますが、不正の影響は多面的であり顧客の信頼回復には長期的な対応が必要です。

また現在の法規制の見直しや試験実施の妥当性を再検討することも求められるでしょう。

メーカー各社の今後の改革に注目が集まります。

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