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自動車におけるUI/UXのトレンドは?ディスプレイ、自動運転のトレンド変化も解説

コネクテッドカーの現状と見通しレポート 無料ダウンロード

本記事の内容に加えて、コネクテッドカーの利用状況や市場予測を解説しています。

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自動車業界では、ドライバーの体験価値を高めるためUI(ユーザーインターフェース)とUX(ユーザーエクスペリエンス)のデザインが急速に進化しています。近年、車内のディスプレイ技術や自動運転の普及に伴いUI/UXの重要性がさらに高まっており、メーカー各社がこの分野に注力しています。

特に、従来のボタンやダイヤルからタッチスクリーンや音声認識システムへの移行が進んでおり、ドライバーの操作を簡素化するための工夫が数多く見られます。また、車内のデジタル体験を快適にするため、直感的で使いやすいインターフェースが求められています。

本記事では、自動車におけるUI/UXのトレンドについて詳しく解説します。ディスプレイや自動運転のトレンドの変化についてもまとめたので、ぜひ参考にしてみてください。

2030年におけるUI/UXのトレンド

UI/UXのトレンドは、デバイス・サービス・情報などの変化および、それらを支える技術のトレンドに左右されます。次章からは、2023年において車を取り巻く状況はいかに変化していくのか、詳しく解説していきます。

2030年の自動車を取り巻く状況

上図は、2024年から2030年にかけた自動車の変化を大まかにまとめたものです。2030年の主要なキーワードとして、5G、BEV、Level 2+を把握しておきましょう。

それぞれ具体的に見ていくと、コネクテッドカーについては、4Gから5Gへと主流が変化していくと予想されます。

また、Powertrain(※1)については、2024年現在は内燃機関の自動車が主流ですが、2030年になるとBEV(※2)の割合が増えると予測されています。

Autonomy Level(自動運転のレベル)は、特にUI/UXのトレンドに大きな影響を与えるものです。2030年段階では、狭義の自動運転と位置付けられるレベル3やレベル4の技術を搭載した自動車の割合は非常に少ないと見られています。割合の変化としては、「レベル2+(※3)」の増加が顕著です。

レベル2+とは、簡単にいうと、ドライバーは常に運転を監視し、常に運転を代われる状態にしておかなければならないものの、常にハンドルを握っておく必要はなく、アクセル・ブレーキペダルから足を外しておいてよいレベルです。自動運転に近い体験が得られます。

(※1)エンジンが生み出した回転エネルギーを駆動輪へ伝達する装置類の総称。エンジンやトランスミッション、クラッチ、プロペラシャフト、ディファレンシャルギア、ドライブシャフトなどの動力伝達装置全体のこと。駆動装置やドライブトレインとも呼ばれている。

(※2)「Battery Electric Vehicle」の略称で、バッテリー式電気自動車のこと。

パーツごとのトレンドと今後の予測

本章では、自動車におけるパーツごとのトレンドと今後の予測について解説します。

自転席のディスプレイのトレンド

まず、車内のUI/UXとして現在最も重要なものとして位置付けられているディスプレイのトレンドから解説します。

上図のバブルチャートにおいて、横軸はICディスプレイ(メーターのディスプレイ)のサイズ、縦軸はCSD(センタースタックディスプレイ)のサイズを示しています。チャートの右部には、MDM(※2)を配置しています。

2024年現在、最も一般的な構成は、4インチ台のICディスプレイと7-8インチ台のCSDディスプレイの組み合わせであると推測されています(上図の写真はイメージ)。

(※1)空調、オーディオ、ナビゲーションなど様々な機能へのアクセスを提供するディスプレイのこと。

(※2)マルチ・ディスプレイ・モジュール(Multi-display Module)の略で、ICディスプレイとCSDが一体化したもの。

次に、2030年におけるディスプレイのトレンド予測を紹介します。2024年にボリュームゾーンだった部分が小さくなり、より大きなディスプレイに推移していくことがわかります。

2030年の予測では、2つのトレンドが見られます。1つは、ディスプレイの大型化です。典型的なモデルとして、12.3インチのディスプレイが2つ搭載された構成が主流となる見通しです。

もう1つは、テスラ・モデル3に代表される、クラスターメーターの機能がCSDに統合されたシンプルな構成です。ICディスプレイが無くなる一方で、比較的大きな13-16インチ台のCSD が増加すると予測されています。

なお、複数のディスプレイを統合したMDMや、Pillar-to-Pillarと呼ばれるインパネ(※)全面がディスプレイとなるようなモデルは引き続き少数にとどまる見通しです。

(※)インストルメントパネル(instrument panel)の略。日本語で言うと「計器盤」となり、メーター類が設置されるパネルのこと。

Pillar-to-Pillar、MDMのトレンド

ここでは、Pillar-to-PillarやMDMのトレンドについて深掘りしていきます。

クラスターメーターとセンタースタックディスプレイを一体化(IC+CSD)した構成のMDMは、2020年代後半にかけて700台強まで大きく伸張する見込みです。とはいえ、2030年が近づくにつれて成長が鈍化すると見られています。

一方、Pillar-to-Pillarに相当するクラスターメーターやセンタースタックディスプレイ、助手席ディスプレイ(FPD)を一体化した構成のMDMについては、主に中国を中心に増加が見込まれ、2030年には200万台に成長すると予測されています。

Pillar-to-Pillarの次に来るトレンド

Pillar-to-Pillarの次に来るトレンドを予測するうえで、よりスッキリとしたダッシュボードへのニーズの高まりは見逃せないポイントです。これに伴い、新しいディスプレイ技術(可変性・どこでもディスプレイ)に注目が集まっています。

2024年現在のダッシュボード上のディスプレイのトレンドは 「もっと大きく、もっとたくさん」がキーワードです。その一方で、最近では収納・折り畳み可能なディスプレイや、位置・向きを変えられるディスプレイの登場が目立っています。

そのほか、透過加飾をダッシュボードやドアトリムなどに使用してディスプレイとして使用することも提案されており、今後のトレンドになる可能性があります。

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ユーザーが望んでいる入力デバイス

上図は、世界中のユーザーに対して、希望する入力デバイスを尋ねたアンケート結果をまとめたものです。

その結果、多くのユーザーがタッチスクリーンを入力デバイスとして最も好んでいることがわかりました。一方、ジェスチャー認識やステアリングスイッチは不人気な傾向があります。

また、用途やシーンによって好まれる入力方法は異なります。ナビゲーションの入力ではタッチスクリーンや音声認識が好まれる一方、空調の操作ではボタンやノブを望む割合が高くなっています。

とはいえ、全体的な傾向として音声認識は日本ではそれほどニーズが高くない状況です。

ユーザーが望んでいる入力デバイスの組み合わせ

上図は、世界中のユーザーに対して、希望する操作系統について尋ねたアンケート結果をまとめたものです。調査結果から特に重要なポイントを以下に示しました。

  • タッチスクリーン+少数のボタン・ノブという構成を望むユーザーが最も多い
  • タッチスクリーンのみを望むのは1/3程度
  • 86%のユーザーはタッチスクリーンがあることを望んでいる

タッチスクリーンは必須だが、物理ボタンも重要であることがわかりました。

物理ボタンについては、今後復権が起こる可能性が指摘されています。2023年以降、行き過ぎたタッチスクリーン化からの揺り戻しの動きが見られます。

より直感的なUI/UXとしてのAR

最近ではより直感的なUI/UXを求め、AR(※)技術が自動車にも採用されている状況です。今後、直感的な情報表示装置としてARヘッドアップディスプレイ(AR-HUD)がより普及する見込みで、5GやBeyond 5G普及に伴い、XRも本格的に普及する可能性があります。

AR-HUDの普及は、中国本土市場が牽引していく見通しです。一方、以前から存在するBox-HUD(通常のヘッドアップディスプレイ)は 2020年代後半に頭打ちとなると予測されています。

またCollision Warning Onlyは、廉価なADAS表示装置として支持を根強く維持する見込みです。

(※)「Augmented Reality」の略で、日本語で「拡張現実」のこと。現実世界での体験にデジタル情報を重ね合わせて新たな価値を生み出す「XR(Cross Reality)」と呼ばれる先端技術のひとつ。

レベル2+の自動運転|ドライバーの状態を推定する必要性

今後、レベル2+の自動運転技術の普及に伴い、カメラやミリ波センサなどを用いてドライバーの状態を検知できるシステム(例:ドライバーモニタリングシステム、幼児置き去り検知システムなど)を搭載した自動車が増加する見通しです。

これにより、自動運転の使用状況やドライバーの状態に応じて変化したり適切に反応できたりするUI/UXが求められていくでしょう。レベル2/2+にマッチしたUI/UXを用意する必要性が叫ばれています。

直感的で気が利くUI/UXは必須

レベル2+の自動運転技術の普及に伴い、ドライバーは、運転タスクに関して余裕が出てくるものと見られます。コネクテッドサービスをはじめ、ドライバーが車内でやりたいことが増えてくるでしょう。

その中で、直感的で気が利くUI/UXが求められます。変化し続ける状況を読みつつ、ドライバーが気づかないレベルでの気配りができる知能化コックピットが求められていく見通しです。

まとめ:トレンドに応じたUI/UXを提供する必要性

自動車業界におけるUI/UXのトレンドは、単なる操作性の向上にとどまらず、ユーザーの体験価値そのものを向上させる方向へと進化しています。

企業はこのトレンドを見逃さず、パーソナライズされた、直感的でシンプルなインターフェースを提供しつつ他社との差別化を図っていく必要があるでしょう。

今後も技術の進展を追い、消費者の期待に応えるUI/UXを提供していくことが、企業の競争力を左右するカギとなります。

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