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コネクテッドカーの現状と見通し|利用状況や売上予測をもとに将来性を解説

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本記事の内容に加えて、自動車におけるUIUXのトレンドも解説しています。

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本記事では、コネクテッドカーの現状と今後の見通しについて解説します。コネクテッドカーの利用状況や売上予測をもとに将来性をわかりやすくまとめました。

コネクテッドカーの課題や、今後のあり方を理解するための参考にしていただければ幸いです。

コネクテッドカーの現状

まずは、アメリカ、ブラジル、イギリス、ドイツ、中国、日本、韓国、インドの8カ国における各国約1,000名の自家用車保有者に対し、コネクテッドカー使用状況を示したデータをご覧ください。

ここからは当該データを元にして、コネクテッドカーの現状について解説します。

コネクテッドサービス利用の拡大

上図は、2022年〜2024年の3年間におけるコネクテッドカーの利用状況に関するアンケート調査です。

上図の棒グラフにおける青色と黄色の部分は、それぞれ以下を示しています。

  • 青色の部分:コネクテッドサービスを有料で利用している人数
  • 黄色の部分:コネクテッドサービスを無料トライアル期間で利用している人数

2022年の段階で、コネクテッドサービスを使用(有料、無料問わず)していると回答したのは52%でした。しかし2024年の調査では61%にまで増加しており、3年間で着実に増加している状況といえます。

一方、国ごとにコネクテッドサービスの利用状況には違いが見られます。例えば、日本でコネクテッドサービスを利用していると回答した人の割合が8カ国平均よりも低い(4割程度)状況で、この3年間で大幅な利用拡大は見られませんでした。

これに対し中国では、2022年時点の調査ですでに8割がコネクテッドサービスを利用していると回答しています。利用拡大の余地は少ないものの、有料サブスクリプション利用の割合が増えているのが特徴的です。

世代別コネクテッドサービスの利用状況

上図は、2024年における世代別のコネクテッドサービス利用状況を示したグラフです。左から右に行くにつれて年齢層が上がっていきます。若い世代では、多くの人がコネクテッドサービスを利用している傾向が見て取れます。

また、年代が高くなるにつれて、「コネクテッドサービスを利用しているのかわからない」という回答が増加していくのも特徴的です。このことは、高齢になるにつれてコネクテッドサービスに対する関心が低くなっていることを示唆しています。

一方、ミレ二アル世代の7割がコネクテッドサービスを利用しています。将来、この世代が主要な自動車購買層になった際、コネクテッドカーの利用が当然の感覚になっていくことが想定されます。

有料コネクテッドサービスの利用ニーズ

現在、ほとんどのコネクテッドサービスには無料のトライアル期間が設けられています。そして、無料期間終了後にサービスを継続的に利用したいユーザーについては、有料サブスクリプションの契約が求められる仕組みです。

もちろん有料サブスクリプションを契約してもらわなければ、コネクテッドサービスから収益を得られません。そのため、有料サブスクリプションの契約動向を把握しておく重要性は高いといえるでしょう。

上図は、「無料トライアル期間終了後に有料サブスクリプションを契約する意向」を尋ねた際の回答をまとめたものです。棒グラフにおける赤色とピンク色の部分が、有料サブスクリプションの契約に前向きな意向を示している人の人数を示します。

上図のデータでは7割以上の回答者が、トライアル期間後に有料サブスクリプションの契約を前向きに検討していると回答しています。しかし、その割合については、この3年間でそれほど変化がありません。

コネクテッドサービスを利用した車内での過ごし方

上図は、「有料のコネクテッドサービスに対して年間どれほどの金額を支払ってもよいか」という質問に対する回答の平均値をまとめたものです。

図からは、調査年によって傾向が大きく変わるのが見て取れます。例えば、2022年における1位は「カーオフィス」で、年間の平均金額は60ドルでした。それ以下では、「EV関連のサービス」「ゲーム」などが上位にランクインしています。

これに対して、2024年の最新調査になると、「カーオフィス」が3位まで後退した一方で、2022年には4位だった「ゲーム」が1位に順位を上げました。ゲームに支払ってもよい金額については、2022年には59ドル程度でしたが、2024年には63ドル程度まで上昇しています。

ドライバーは車内で様々なことをして過ごしたいと考えていることから、今後もニーズは変化すると想定されます。

日本におけるコネクテッドサービス進化の歴史

上図は、2023年までの25年間における日本のコネクテッドサービス進化の歴史を大まかにまとめたものです。

2005年、トヨタはすでに社内での通信カラオケのサブスクリプションサービスを商用化していました。しかし当時、通信カラオケのサービスはあまり話題となりませんでした。

一方、現在の中国では、通信カラオケのサブスクリプションサービスが大流行している状況です。そのため、コネクテッドサービスについて「どの時代に何が流行するのか」の予測が困難だと考えられます。

コネクテッドサービスを拡大させるうえでは、新しいトレンドに素早く対応することが重要です。

コネクテッドサービスの課題:ディストラクションへの懸念

コネクテッドサービスの課題として、ディストラクション(※)が挙げられます。上図は、ディストラクションに対して懸念があるかどうか尋ねた際の回答をまとめたものです。

ディストラクションへの懸念は、国によって異なります。例えば中国やブラジルにおいて、ディストラクションに対する懸念はそれほど深刻ではありません。

一方、インドでは8カ国中最もディストラクションへの懸念が強い状況です。

なお、日本におけるディストラクションへの懸念は、ちょうど中間あたりです。

※:運転時における集中力の欠如によりドライバーが注意を怠ること。「ドライバーディストラクション」とも呼ばれる。進行方向から目が離れたり、ハンドルから手が離れたりすることが主な原因とされる。

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コネクテッドカーの見通し

ここからは、さまざまな予測データからコネクテッドカーの見通しについて解説します。

グローバルTCU市場の見通し

上図は、コネクテッドカーの心臓部にあたるTCU(※)の年間生産割合に関する予測データをまとめたものです。上図グラフの各色は、それぞれ以下を示しています。

  • 黄色の部分:4GのTCUを搭載したコネクテッドカー
  • 青色の部分:5GのTCUを搭載したコネクテッドカー
  • 黒色の部分:TCUが搭載されていない(コネクテッドカーではない)自動車

2024年に生産された新車の中で、コネクテッドカーの年間生産台数は6,400万台、割合にして約73%に及ぶと推測されます。

現状、5GのTCUを搭載したコネクテッドカーの生産台数は少数にとどまっていますが、2029年には4Gの生産割合を超える見通しです。

※:「Telematics Control Unit」の略で、自動車などの電子機器を制御するECU(エレクトリック・コントロール・ユニット)から情報を受信し、インターネットを介して車と外部との間で双方向通信を行う装置のこと。

コネクテッドカーの稼働台数の見通し

上図は、実際のコネクテッドカー稼働台数をグラフで示したものです。2028年時点で、世界におけるコネクテッドサービス車両の稼働台数は約5億台となる見通しです。

2024年現在、アメリカがコネクテッドカーの最大の稼働台数であると見られていますが、2028年には中国が最大のマーケットになっていくと予測されます。

コネクテッドサービス利用状況の予測

上図は、コネクテッドカーの利用状況をまとめたものです。

コネクテッドカーのうち、サービスをアクティベートして利用している割合はグローバルで約6割(日本では約5割)です。そのうち、有料のサブスクリプションサービスを契約している割合はグローバルで約⅙と推測されています。

日本は、グローバル平均と比較してアクティブベーション率もサブスクリプション率も低いのが特徴的です。

コネクテッドサービスの売上予測

世界のコネクテッドサービス市場規模は、2024年には約60億ドル、2028年には約120億ドルに達する見込みです。

2024年時点のコネクテッドサービス売上を見ると、グローバルトップはGMのサービス「OnStar」と推測されています。GMはコネクテッドサービスの利用促進のために、ディーラー網やきめ細かなユーザー フォローアップを行っているのが特徴です。

その後に続くテスラは、先進的なイメージで支持を集めています。ADAS関連の高額なコネクテッドサービスや、ペイドアップデートが売上に大きく寄与していると推測できます。

まとめ:コネクテッドカーの市場規模は堅調に推移する見通し

コネクテッドカーの市場は、技術革新や社会的ニーズによって引き続き成長する見通しです。安全性や利便性の向上、自動運転技術の進展といった要因が、コネクテッドカーのさらなる普及を後押ししています。

今後も技術と市場の進展に注目し、これらの変化に対応した戦略を立てることが重要です。

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